Our Topics電鉄会社とのタイアップ

京王電鉄とJRAがタイアップ

5月26日、第80回日本ダービーが行われた。記念大会ということで宣伝活動にも力が入っていたようだが、OOHにおける展開もすごかった。東京競馬場最寄り駅を持つ京王電鉄は、普段でも競馬開催日には臨時ダイヤにして来場者の便宜を図っていたが、今回は記念乗車券の発売などタイアップ色が色濃く見えた。広告面で注目が集まったのは、まず駅での展開。井の頭線の渋谷駅では、改札前からの動線にある媒体全てを活用した。デジタルサイネージ、フロア、ホームの大型ボード、柱、フラッグなどフルジャック展開だ。デジタルサイネージはディスプレイ以外の部分までラッピングし、さまざまなバージョンのCMを放映した。中でも、天井下までラッピングした柱巻き広告は圧巻だった。競馬場の芝生をイメージする黄緑色に駅全体が染まり、その世界観が出ていた。これは他のメディアでは出せないだろう。新宿駅の駅ジャックも印象的だった。特に競馬場の芝生のコースを模したフロア広告が印象的で、改札内のコンコースを1周していた。また、歴代の優勝馬を載せたポスターでは、馬の足が枠からはみ出しており、ポスターから飛び出すかのような躍動感を出す工夫がされていた。さらに、改札外には、ディープインパクトの等身大模型が展示されるサプライズもあった。

ダービートレイン約7200人がいいね!

駅だけでなく電車の車体広告と広告貸切電車も実施した。車体には8色の記念ロゴを掲出。車内では中づりや、まど上、ドア横、さらに通常の広告メニューにないドアの内側やフロアに至るまで、広告掲出がされ「ダービートレイン」と呼びたくなるほどだった。中づりには歴代のダービー馬の写真が掲出。この電車の様子が公式フェイスブックに載ると「いいなぁ♪乗りたい(*≧&forall≦*)」「ダービーウィークという感じがします!」「新宿駅構内のラッピングでもかなりテンション上がりましたが、これは乗ったら更にテンション上がりますね!!」などのコメントが次々に寄せられていた。いいね!の数もトータルで約7,200にもなるほどで、情報の拡散が見られた。JRAによると今回の日本ダービー入場人数は13万9806人で対前年比121.1%とのこと。恵まれた天候、そして何より武豊騎手が1番人気の、ディープインパクトの子供キズナに騎乗するという話題性も手伝ったかもしれないが(結果優勝!)、OOHメディアの効果も少なくないだろう。今回は広告メニューに無いものまで実施したが、これはあくまで電鉄会社とタイアップして実施したから可能だったという例外視する意見もある。しかし、取付け作業などの面も含めて、物理的な可能性を検証できたと捉えることもできる。チャレンジしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2013.8月号からの転載です。