Our Topics通行者を近寄らせポスターを読ませる「自分ごと化」の仕掛けの工夫
1,460種の占い結果に人々が殺到。誕生日で自分ごと化が促進。
テレビ朝日は、2019年1月14日から1週間、「ハケン占い師アタル」の番組宣伝で、東京メトロ新宿駅の大型ボードに「占いの結果」を表示する広告展開を行った。番組は、占いの能力を駆使し、周りの正社員たちが抱える悩みを解決していく派遣社員が主人公のドラマであり、その世界観を表現したものだ。
驚くことに大型ボードには全部で1,460通りもの占い結果がずらりと並んでいた。そこに多くの人々が殺到し、スマートフォンで撮影する姿が見えた。その時の直感で4色(赤、金、白、黒)の中から1色を選び、その「カラー」と「誕生日」で占われるという設定だった。つまり、4×365=1,460通りだ。この占いは、女性ファッション雑誌等に連載を持つ人気のフォーチュンアドバイザー、イヴルルド遙華さんが監修し、「全体運・恋愛運・仕事運・幸運のヒント」が掲載される本格的なものだった。
インターネット上でも「新宿駅通ったら物凄い斬新な交通広告でててびっくり!」「広告で占いできて4パターンも結果あるので 思わず全部探したくなるよね」など話題となった。
現場では時に、自分の占いの書いてある場所を探して人々が入り乱れる姿が見られ、人が人を呼ぶという現象が起きていた。占いは一般的に興味・関心を呼ぶコンテンツだが、今回は自分限定の「誕生日」が入っていたことで「自分ごと化」が起き、ポスターに集まるという行動喚起がより一層されたと考えられる。
ゲームキャラクターからのリアルな感謝メッセージにファン集結
リベル・エンタテインメントは、600万ダウンロードされている人気育成スマホゲームA3!(エイスリー)の2周年を記念し、2019年1月28日から1週間、同じ場所でOOH展開をした。A3! は“つぼみ”状態のイケメン舞台役者(アニメキャラクター)たちを育成し、満開に咲かせるゲームだ。
注目したのは、役者24人によるメッセージや、花束が飾られた広告ボードに多くのファンが次々に立ち止まり、スマートフォンで撮影する姿が見られた点だ。あくまでゲーム上のバーチャルなキャラクターなのだが、リアルな花束にメッセージは「直筆」ということで、あたかもリアルに存在するかのような演出がされていた。これらは、ゲームユーザーである舞台監督へ感謝の意を込めて贈られるということで、いわばゲームキャラクターから「自分(ユーザー)へのメッセージ」と言えるものだ。コアなファンからは「自分への寄せ書きを現実にもらう気持ちになった」という意見もあり、見事にファンの心を捉え、ここでも「自分ごと化」がされていた。
公式Twitterで広告写真が掲載された投稿のリツイート数は5,000件以上、いいね!は20,000件以上にもなるなど、その情報拡散力も大きかった。
このように、ポスターに通行者を近寄らせ読ませる行動を促すには、「自分ごと化」させる仕掛けをどう考えるかがポイントとなると言えるだろう。
※このコラムは「宣伝会議」2019年4月号からの転載です。