Our Topics謎めいたしかけやコンテンツで話題を誘う

新宿にミステリアスな書店が開店?

1月7日から20日まで、フジテレビは、新番組「ビブリア古書堂の事件手帖」の宣伝の一環として、東京メトロ新宿駅で、「3Dホログラフィック映像」を使ったOOHメディア展開をした。駅の大型ボードを本棚が並ぶ古書店に見立て、そこに4つの小窓を設け、番組出演者の剛力彩芽さん、AKIRAさん、高橋克実さんそれぞれを、ホログラフィック映像で登場させたのである。ホログラフィックは、空間に映像を映すことで、あたかもそこに人がいたり、文字が動いているかのように見せることができるものだ。剛力さんは本棚の中に住む小さな妖精のように、本に腰掛けたり、「事件を解く鍵は名作の中に・・・」と浮かぶ文字に触ったりしていた。体の一部が微妙に透けて見え、ゴーストのようでもあり、ファンタジックでミステリアスな世界観を作り上げていた。このドラマは、古書に関して並外れた知識を持つ古本屋の女店主が、客が持ち込む古書にまつわる謎を解いていくストーリーとなっている。そんな世界観にこの手法は合致していると言えるだろう。ミステリアスなしかけで通行者をこの小窓に誘っている。実際、多くの人が足を止め、のぞき込んでいた。

ついのぞきたくなる?ポスターに鍵穴が

通行者がOOH広告に近づいて、のぞき込む情景は以前にも見られた。2011年の6月、讀賣テレビ制作のバラエティー番組「秘密のケンミンSHOW」の広告でだ。大型ボードには鍵型の穴が空いており、のぞくとその県民ならではの習慣など、面白いネタが見られるような仕組みになっていた。のぞき穴にしたのは、番組名の「秘密」にかけたとのこと。また、誰かがのぞくと、「何だろう」と不思議に思った別な人が立ち止まってのぞくという連鎖反応が起こっていた。 このように、ミステリアスな映像が流れる小窓や謎めいた秘密の鍵穴を設置して通行者を誘う仕掛けは、訴求する商品の世界観と合致していれば効果的な手段と言えるだろう。強制視認性の高い広告の多いOOHメディアだが、こうした仕掛けで隠れたコンテンツを見せることも、話題作り、絆作りに有効だろう。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2013年2月号からの転載です。