Our Topics屋外広告初の現物取引市場「JAODAQ」が開設

媒体主と広告会社のスムーズな取引をサポート

2017年6月1日、屋外広告市場の更なる発展を目指して「屋外広告相場情報システム・JAODAQ(ジャオダック)」がローンチされた。JAODAQとはJap¬¬an Advertising of Out Door Automated “ationsの略で、媒体主(レップ含む)と広告会社の間を取り持ち、双方のスムーズな取引をサポートするためにネット上に開設されたクラウド型ネット取引市場だ。運営会社は「スマートコムラボラトリーズ」という広告会社や商社、メーカー、プロモーション会社ら6社による異業種共同体の会社になる。証券市場のひとつと類似した名前だが、小麦などを扱う現物取引市場に近いものだとのこと。会員制で取引が出来るのは媒体主と広告会社だけで、広告主が直接買うことはできないしくみだ。
媒体主は所有メディアの枠のうち売りたい期間売りたい分だけ上場し、実績に応じて価格が形成されそれを広告会社が購入するという流れだ。扱う広告商品は、屋外の大型ボードや大型ビジョン、室内のポスターやフラッグ、電飾看板、各種デジタルサイネージ等になる。
媒体主は、媒体の接触可能人数の提出が条件となり、その精度で1部上場から3部上場までランク付けされる。1部はリアルタイムで実測できる媒体、2部は調査会社などで年1回でも測定した媒体、3部は周辺のデータを参照して推定する媒体だ。ユニークなのは、運営会社がその接触可能人数やメディアの面積・機能といった要素を基に、独自のビッグデータ解析で編み出したアルゴリズムによる「屋外広告基準広告料金」を出すことができる点。それに係数をかけることにより広告販売価格を決めることができるのだが、新たに媒体主となり広告料金をどう決めたらよいか悩む事業主には良いサービスだろう。広告会社はその接触可能人数の目標を設定し逆引き的に媒体をリストアップするプランニング機能も使える。

屋外広告ビジネスにおける5Pを支援

マーケティング戦略を行う上で重要な4つの要素を4Pと言うが、筆者はそれに倣って屋外広告ビジネスにおいては5Pが重要と考える。すなわち、Product(広告商品)Price(広告料金)Place(広告流通)Promotion(媒体の認知)Process(業務プロセス)だ。
JAODAQは、接触可能人数などを基に屋外の広告商品の価値を明確化し、それに合わせた価格を適正化、流通させ、媒体の認知もされやすくするものと考えられる。審査・入稿チェック・放映確認等の業務プロセスも支援することも予定しているとのことだ。
このように5Pの要素をすべて備えメリットの多いJAODAQだが、広告販売に課題を持っている媒体主からの問い合わせが多いようだ。ローカルエリアの媒体の集積化やニッチな媒体が顕在化する可能性が高い。また、売れなかった商品だけ上場するアウトレットモール化やEコマース化が進行する可能性もある。いずれにしても出来高が増えれば長期的には屋外広告市場を拡大させるものになるだろう。

※このコラムは「宣伝会議」2017年9月号からの転載です。