Our Topics外出自粛の効果検証で人流解析データが注目。OOHメディアで活用の契機となるか
連日報道される外出率の減少
OOHメディアへの影響も懸念
2020年3月25日「小池都知事が週末の外出自粛と在宅勤務を要請」。4 月7日「7 都府県に緊急事態宣言が発令」。ゴールデンウィークは「ステイホーム週間」と、新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出自粛の動きが日を追って進んだ。駅周辺で人通りが少なくなったと報じる映像が連日放送され、家の外で移動する生活者をターゲットとしているOOHメディアとしては厳しい状況が続いている。
そんな中、外出率や来街者数などの変化を数字で解析した報道も目についた。位置情報を活用したマーケティングやサービス施策の促進を目的に活動する企業連合であるLBMA Japanでは、協力各社が人流の解析結果から作成したデータなどを報道機関に提供している。
その中の1社であるソフトバンクの子会社のAgoop (アグープ)は、スマートフォンのアプリから位置情報を取得し、全国100カ所の主要な駅や観光地などでの人の流れを無償公開している。たとえば、渋谷駅周辺の滞在人口の推移グラフをみると1月から5月上旬のゴールデンウィーク期間にかけて減少しているのがわかる。また、NTTドコモも基地局の情報をもとに47都道府県で1月中旬から1カ月間の平日の人出平均と比較した減少率を公表。たとえば、4月27日は東京・新宿周辺で70.2%減少、大阪・梅田周辺で73.1%減少という具合だ。
人流解析データは「いつ、どこに、どれくらい人がいるか」を示すデータだ。「位置」に紐付くOOHメディアとの関連性は高い。しかし、データ収集の方法はスマートフォン利用者の位置情報を使用するケースに限らない。
関東地区の交通広告事業社では「交通広告メジャメント標準化検討会」を1月に設置。「媒体価値の見える化」を目的に、デジタルテクノロジーを使ったオーディエンス測定の標準化の検討を開始している。現状、交通広告はサーキュレーションや接触人数によって広告料金が設定されているわけでないが、今後の動きが一層注目される。
閑散とする繁華街
繁忙極めるスーパーマーケット
都心の繁華街の人出が減る一方で、地元のスーパーマーケットに多くの人が出掛ける現象が起きている。実際、総合スーパーで広告媒体の運営を行っている事業者によると、ある店では、7日間にわたり、指定エリアに15分以上滞在した延べ人数の人流解析データを、緊急事態宣言前後の昨年の同期間で比較した。減少率は約6%程度だったという。(出典:「KDDI Location Analyzer」)
このように、外出自粛の効果検証で人流解析データが注目され、認知されている。OOHメディアで活用の契機となるかは、感染の危険性が無くなり、都心の賑わいが戻ったときにわかるに違いない。
※このコラムは「宣伝会議」2020年7月号からの転載です。