Our Topicsオリジナル表現が増えてきた、駅のデジタルサイネージ

時間と場所で異なる表現

2011年12月5日、大塚製薬は、20駅のデジタルサイネージを使い、時間と場所ごとに表示内容を変えた広告展開を行った。駅名表示を模したデザインで平日、休日それぞれ朝昼夜の時間と、設置駅ごとに合計52種類のメッセージを切り換えていた。例えば品川駅では、朝昼と休日には「品川駅は実は港区である。実は身体の6割が水分である。」、「品川はオフィス街 うちの部長は親分肌ではないが乾燥肌だ。」とし、平日夜は、「品川で1人残業 上司も同僚も冬の空気も実にドライだ。」そして「冬のカラダは乾きがち。こまめな水分補給を。」もしくは「冬の乾いたカラダには、カラダに近い水分を。」として「水よりも、ヒトの身体に近い水。」と共通メッセージで商品に落とし込んでいた。驚いたのは、ナレーションが、駅員さんのアナウンスのようだったことだ。テレビのものとは違う、その駅の利用者を想定した広告表現といえる。さまざまな場面でポカリスエットを飲む機会がたくさんあるというメッセージにも思えた。

ディスプレイ44面、すべて違う表現に

11年10月31日、ミサワホームは品川駅自由通路にある44面のデジタルサイネージで、今までグッドデザイン賞を受賞した住まいを43点、ディスプレイ毎に同時放映した。住宅業界ナンバーワンの受賞実績を示すにはふさわしく、効果的な手法だったと思う。
ディスプレイ毎に違う表現をする試みは同年7月にも行われた。 小田急新宿駅にあるデジタルサイネージで、カゴメはAKB48のメンバーが「野菜一日これ一本」を飲む様子を放映した。メンバー1人30秒で、6人が次々と登場。それが5パターンで合計30人。46面全部ではなかったが、人気アイドルが駅利用者に向かってジュースを飲んでいる姿はインパクトがあり、足を止めて見る人も少なくなかった。「Yahoo!ニュース」にも載り、それを読んで「見にいこうぜ」とツイッターでつぶやいた人もいたという。
このように、時間や場所で表現を変えることは高度な配信技術のあるデジタルサイネージならば可能である。 テレビとは違う視聴環境を踏まえたオリジナル広告表現で、その場にいる人の共感を狙う広告主も増えている。デジタルサイネージ出稿時には検討してみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2012年1月号からの転載です。