Our Topicsアナログからデジタルまで空間を占有して伝える効果

空間ジャックに音も導入 統一された世界観で展開

7月18日、JR新宿駅と京王新宿駅の連絡通路全体が、サントリー「ペプシNEX」の広告でジャックされた。「GO NEXT!」という商品のキーメッセージに加えて、京王側入り口には「GO JR」、JR側には「GO KEIO」と書かれていたのはこの場所ならではのクリエイティブだ。通路の両脇全面に、商品写真とテレビCMにも起用しているロックバンドB’zの2人が出ているが、驚くことに天井部分にも、大きく「ペプシNEX」の画像が表現されていた。さらに、両脇の看板面から炭酸が泡立つ音とB’zのCM曲も聴こえた。
この通路は、通行量が多い割に広くないため、メディアとの距離も近く迫力を感じやすい。空間全体をジャックして、特にシンボルカラー(ブルー)を統一的に使ってうまくブランドの持つ世界観を出しており、効果的だった。
同様の空間ジャック展開は、昨年パナソニックも行なっている。JR新宿駅の中央通路で、左右の壁面・天井に加え、フロア広告まで実施した。壁面は「エコナビ搭載商品を配置した部屋」、天井面は「青空と飛行機雲」、フロア面は「緑の芝生」のデザインで「エコナビストリート」を展開した。
この2つに共通しているのが、駅空間で、他の広告や業務サインなどをほとんど見せずに訴求できた点にある。電車内では広告貸切電車があるが、駅では場所も限定されるため難しい。広告主にとって、ノイズがない状態で独自のブランドイメージ、世界観を訴求できたと言えるのではないだろうか。

デジタルサイネージによる空間ジャックができる新施設

7月18日、ニコニコ動画の次世代エンターテイメント施設である「ニコファーレ」がオープンした。ホールの壁4面と天井がすべてデジタルサイネージというすごい施設だ。
ここでは、映像を使った空間ジャックができる。ライブハウスとして最先端のテクノロジーを使った演出ができるだけでなく、発表会や展示会など様々なイベントをネット中継するための施設として活用されるだろう。気になったのは、オープニングで日比谷花壇が行った「デジタルフラワーギフトサービス」だ。これは、会場ディスプレイにデジタルフラワー(バーチャルな生花)を表示し贈答するサービスである。もしかしたら、街頭ビジョンや様々なデジタルサイネージのOOHメディアで、応用できるかもしれない。話題の施設と共に、今後に注目していきたい。

※このコラムは「宣伝会議」2011年8月号からの転載です。