Our Topicsいつもの場所が陸上トラックに? キャンペーンに適した広告表現

生活のいち場面に広告体験を施す

KDDIは、8月31日から2週間、「au Smart Sports 『5min. WALK』」キャンペーンの一環として恵比寿駅スカイウォークに陸上トラック型のフロア広告を掲出した。
全長300mに及ぶこの「カロリーカウンター広告」は、毎日5分以上のウォーキングを推奨する同キャンペーンを知ってもらうために設置されたもの。auの携帯電話の一部機種で利用できる「Run&Walk」アプリを用いて「ケータイと歩く」楽しさを疑似体験してもらうことも目的のひとつである。
そのために、普段から「歩く」という行為でできる健康対策を表現したクリエイティブが施された。スタート地点から歩き始めると、ところどころに消費カロリーが記されており、そのカロリーに応じて「毎日歩けば1年で鮭おにぎり1個分」や「モンブラン5個分」など、具体的な食べ物が描かれているのだ。
スカイウォークの端から端はちょうど歩いて5分ほど。毎日ビジネスパーソンから買い物客まで幅広い層の人々が行きかう通路である。普段から利用している通路も心がけ次第では運動の場になり得る、まさしく「ケータイと歩けば、その5分がスポーツになる。」というキャンペーンキャッチフレーズを具体化したプロモーションとなった。

広告をリサイクルしてジーンズにして販売

ユニークなイベントで度々注目を集める銀座5丁目のソニービル。9月24日の昼下がり、その壁面では何とジーンズの「空中」展示即売会が行われた。「Sony Recycle Project JEANS」と名付けられたこのキャンペーンは、過去にこのソニービルに掲出されていた広告をリサイクルし、裁断してジーンズへよみがえらせたもの。
「ぼくらのすてるを、だれかのすてきに」をテーマに過去の広告幕を一つひとつ手作業でジーンズへとデザインしなおした。SS~LLまでの5サイズを壁面に展示し、購入希望者が下から注文すると、ワイヤーで吊るされた店員が上から降りてきて商品を取り外すパフォーマンスも行った。ジーンズは一本1万5千円で販売され、売り上げの一部は世界遺産の修復補修保護に寄付される。
昨今の世界的なエコブームは、広告業界でも継続中である。広告を見た(リーダライターなどでタッチした)人たちの数だけ植林基金に募金される企画や、リサイクル紙を使用した広告など、さまざまな工夫がなされている。
今後も企業としての社会的責任や姿勢を示すために、このリサイクルプロジェクトのような広告展開の重要性は高まっていくに違いない。

※このコラムは「宣伝会議」2009年10月号からの転載です。