Our Topics「デジタルサイネージジャパン2012」開催

マルチタッチ対応で 複数の人が同時に操作見出し

デジタルサイネージの新製品や最新ソリューションが集まる「DSJ(デジタルサイネージジャパン)2012」が6月13日から3日間、幕張メッセで行われた。「ブースアワード」を受賞したシャープは、数多くの製品を出展した。その中には、大画面のマルチディスプレイで、同時に複数の人がファイル画面をスライドさせたりズームさせたりすることが可能なものがあり注目した。公共空間では、サイネージ一つに一人という図式は非現実的で、実際には同時に何人もの人がディスプレイの前に集まる。仮に、この大画面に、AKB48のメンバー一人一人のファイル画像が置いてあるとする。ファンの人たちはこのサイネージの前に集まり、それぞれ好みのメンバーの画面に次々ににタッチするに違いない。引き伸ばしてスマホで写真を撮るといったこともあるだろう。現実には課題もあるだろうが、大画面マルチディスプレイ+マルチタッチ操作の組み合わせは、それを可能にし、広告サイネージとしても表現の可能性を広げるだろう。 次に注目したのは、透過型液晶(透明ディスプレイ)だ。これも多く見られた。表示灯は、駅周辺案内図にこれを活用し、実機を展示した。地図自体は印刷物で、その上に液晶を置き文字を見せている。4ヶ国語対応で、言語表記をタッチすると切り替わる。店舗広告にタッチすると、店までの道順を光の点線で示すといった工夫がされていた。さらに、屋外のライブ映像まで見られるというのは驚きだ。デジタルサイネージアワードでも賞を取った「自販機モデル」に注目が集まっていたが、このような使い方も利用者のニーズを良く理解されており、実用的で良い。 どちらも画面をタッチすることが前提となっている。この点に関して「操作できるか、気がつきにくい」、「人が見ている前では抵抗がある」と心配する意見もあるが、スマートフォンやタブレットPCの普及で、タッチする行動様式が当たり前になることにより課題は解消するだろう。

アイデアで付加価値を 魔法の鏡サイネージ

同じ週にメトロ新宿駅には、映画「スノーホワイト」の「魔法の鏡」をモチーフにした鏡型のデジタルサイネージが設置された。自分が映る鏡に、「女王様、この世でいちばん美しいのはあなたです」や「あなたは、シャツを着ている人の中で 携帯で話す横顔が一番美しい」などのメッセージが浮かび上がるしかけだった。映画の世界観をデジタルサイネージで上手く表現していた好例だと思う。このように、デジタルサイネージはアイデア次第で単に動画を流す以上の付加価値を持たせることが可能だ。プロモーションの一環で検討してみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2012年7月号からの転載です。