Our TopicsWEBプロモーションの発表の場としてOOHを活用

高さ10メートルの綾瀬はるか 新宿の街に登場

9月23日、新宿駅東口前のイベントスペースに、女優の綾瀬はるかさんを模した巨大な人形が登場した。その高さは約10メートル。通りがかった人々はその姿に驚き、次々に携帯電話で撮影。ツイッターやブログでも多くの書き込みが見られた。
これは、液晶画面をタッチすることでシャッターなどの動作ができる、パナソニックのデジタルカメラのプロモーションの一環で行なわれたものだ。
WEB上では、画面上で綾瀬さんをタッチ(クリックして撮影)することで大きくさせる「綾瀬はるかにタッチ!ゲーム」を実施し、900万近くのタッチを記録した。OOHでは、その大きくなった綾瀬さんをバルーンで再現した。
これ以前にも、キリンの缶コーヒー「FIRE」のプロモーションとして、同じ場所に大リーガーの松井秀喜選手の巨大なバルーン人形が登場したこともある。松井選手への応援メッセージを人形に書き込んでもらい、それをアメリカまで届け、本人と対面させるという企画であった。
どちらの事例も、巨大な有名人のインパクトは強く、多くのテレビ番組で取り上げられるなど話題になったが、OOHの位置付けが微妙に違っていると思う。松井選手の方は、どちらかというとOOHでのビッグイベントを起点にコミュニケーションデザイン行われていたのに対し、今回の綾瀬さんはWEBプロモーショが中心で、OOHは終点(その結果発表の場)として使われたように思えた。

WEBで募集した画像をリアルなOOHで発表

これと同じような作りのキャンペーンとして、今年の春から夏にかけてKDDIが行った「auミリオンプレイ」がある。5カ月間でキャンペーンサイトの累計再生回数は約900万回を記録した。
このキャンペーンではユーザーからツイッターなどで使用しているアイコン画像を募集しており、投稿者数も最終的に7万人を超えた。
このキャンペーンでさらにユニークなのは、バーチャルな花火大会の実施だ。6台の強力なプロジェクターを使って、アイコンが花火の模様となり、音と共にビルに投影された。「プロジェクターマッピング」というデジタルサイネージの手法に属すると思うが、多くの通行人から注目を集めた。現場でも画像の募集を行ったが、キャンペーンの中心はやはりWEB上にあったように思う。
過去に参天製薬が実施したキャンペーンでは、目薬をさした時の爽快感を表現した表情を、CMの台詞にかけて「キターッ! 顔」としてWEB上で募集。今回のauと同様に、六本木ヒルズのメトロハットで発表した。モザイクアートの手法を使い、遠目から見ると巨大なタレントの顔に見え、近くに寄ると、たくさんの応募者の顔写真が見えるようにしていた点が画期的であった。
このように、OOHメディアは、WEBプロモーションとのクロスコミュニケーションで、話題づくりの起点だけでなく、リアルな終点(募集キャンペーンの結果発表など)としても、効果的な活用が可能なものと捉えられるだろう。

※このコラムは「宣伝会議」2010年12月号からの転載です。