Our TopicsO2Oソリューションだけでなく進むビーコンを活用したOOHメディア展開

全国の主要駅に取り憑いたご当地妖怪入手キャンペーン

ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、2018年7月27日に150万ダウンロードを突破した人気スマホゲーム「妖怪ウォッチワールド」のプロモーションでOOHメディアを使った。このゲームは、妖怪探索位置ゲームと言われスマホのGPSと連動して描かれた実際の町並みをもとに妖怪をサーチし、友達になったりバトルをしたりするものだ。
8月に行われた「全国の主要駅に取り憑いたご当地妖怪入手キャンペーン」は、期間中全国6都市の駅に掲示されたOOH広告のヒントを手掛かりに特定の場所に行くと、新妖怪と9体のご当地妖怪を集めることができるというものだった。
8月13日から1週間行ったJR東京駅では、階段脇壁面や中央通路の大型シート&サイネージ媒体等を全て使うジャック展開で、ポスターには獲得できる妖怪の姿や「東京駅に取り憑いたご当地妖怪を手に入れよ」というメッセージが見え、サイネージではCM動画も放映していた。また「どうやら中央通路に隠れているらしい」など妖怪の入所場所がどこにあるかのヒントも多数掲示し誘導をしていた。入手場所付近に行くと、妖怪を貰おうという多くの人の立ち止まる姿が見えた。注目したのは、妖怪の受け取りには、Bluetoothを利用した無線技術「ビーコン(iBeacon)」を使っていた点だ。ビーコンにより、スマートフォンを通じて近くにいる複数のユーザーのゲーム内に同時に妖怪を配布したのである。あらかじめアプリのダウンロードとBluetooth設定をオンにする必要があり届く範囲も狭いが、GPSが取得しづらく歩きスマホが危険な駅の中では、場所を限定し立ち止まらせて行うこの展開は有効な手段だったと言えるだろう。

駅や電車にビーコンを設置 電車利用の促進につながる

西武鉄道は、「西武線で球場へ行こう」のキャンペーンでやはりビーコンを使った。西武球場前駅の改札付近や球場内にビーコンを設置し、電車を使って埼玉西武ライオンズの応援に来た人にスタンプが送られるというものだ。スタンプの獲得数に応じて、オリジナルの選手写真や動画などの特典がプレゼントされた。企画の背景として、西武球場のリニューアルに伴い駐車場が一部使用できなくなるという課題があり、電車利用を促進する必要があったからとのことだ。アプリのダウンロード数も増加し狙いは当たったようだ。広告的には「プレゼントタイアップ企画」なども検討しているとのこと。
一方、JR東日本では山手線内36駅97の改札口や山手線の新型車両E235系の各車両にBluetooth規格のビーコンを設置し、広告運用する体制を整えている。広告主のスマートフォンアプリにビーコンID検出機能やビーコン管理システムとのAPI連携機能を追加することで、ユーザーの利用状況に合わせたプッシュ情報配信、リアル行動データの取得が可能になるとのことだ。
このように、従来O2Oソリューションとして注目されているビーコンだが、ゲームやスポーツ観戦などエンタメ性の高いコンテンツとの相性も良いように思える。ビーコンでインセンティブを送ることによりアプリのダウンロード数が増える効果も期待でき、ロイヤルカスタマーの獲得に繋がるとも言えるだろう。オフライン上の行動ログを把握できればマーケティング活用の可能性もある。鉄道利用者への新たなOOH広告手段として今後の展開が注目される。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2018年11月号からの転載です。