Our TopicsDSアワード2015に見るサイネージクリエイティブ

「どこでもドア」をサイネージで実現

6月10日、「デジタルサイネージアワード 2015」の 表彰式が行われた。国内のデジタルサイネージを使った表現の中から、優秀作品を選出し表彰することで、サイネージの市場のさらなる活性化を目指しており、今年で6回目になる。グランプリはテレビ朝日の「デジタルどこでもドア」だ。『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記』のプロモーションで実施。90インチのデジタルサイネージをどこでもドアに見立て、本社アトリウムに4台設置した。扉が開くと世界中の絶景が広がる映像の演出はタイトル通りだ。時間帯や時期によって4台で一画面となるスペクタクル映像ショーや、インタラクティブイベント「どこでもドアにはいっちゃおう!」を実施した。撮影した自分の画像がキャラクターになってサイネージ上で宇宙遊泳するというもので、3カ月間で9818人が参加した。審査員からは、「子どもの夢をかなえるツールであるどこでもドアを、デジタルサイネージに見立てた着想が優れている」「ドラえもんの世界をデジタルで街に繰り出している。テレビ局ならではの展開であるし、これはニッポンにしかできないクールジャパンそのものだ。わくわくするサイネージのモデル」と絶賛されていた。

海の家で紫外線量をサイネージに表示

広告部門に入賞したのはP&Gの「UV_PRICE / PANTENE」だ。湘南にオリジナルの海の家を建設。そこに紫外線量をリアルタイムに検知できる装置を取り付け、デジタルサイネージに表示した。同時に、紫外線が強いとPANTENEの値段を下げ、弱いと上がるようにして販売。紫外線が髪に与えるダメージは肌の3倍である事実と、PANTENEが紫外線から髪をケアできる商品であることのPRが目的だったが、多くの女性の共感を呼び、8906人が購入をした。商品の機能的価値を最も効果的な場面で効果的な演出で訴求し、抜群の効果を発揮したと言えるだろう。審査員からは「ターゲットユーザーの購買欲求を高める仕組みができていて、さすがだ」という声があがった。また制作者は、「サイネージが面白いと感じるのは、どこでも同じ情報を出すのではなく、その場の特有の情報をどう出すかを考えていくと、違う展開、面白い見え方ができるのではないか」と述べている。ロケーション部門に入賞したのは、ブラザー工業の「スノーフレークメモリーズ」。ギネス認定の世界一大きなプラネタリウムドーム「Brother Earth」で実施したインタラクティブなプロジェクションマッピングイベントだ。来場者が撮影した写真をWebサイトから投稿すると、スノーフレーク型になった大きな写真が、ドームに投影された。2日間で合計3597枚もの写真が集まった。その他、昨年の本誌9月号で紹介した「Skirt_Flirt / CanCam」がクリエイティブ部門と広告部門で、2015年3月号で紹介した劇場版「PSYCHO-PASSサイコパス シビュラゾーン」は、インタラクティブ部門で、2015年5月号で紹介した「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」は、ロケーション部門に入賞した。審査委員長の中村伊知哉理事長はアワード作品について「高度なテクノロジーと美しいデザイン、あっと驚くアイデア、豊かなビジネスモデル。これらが揃うことで素晴らしいサイネージになる」と述べている。参考にしてみてはいかがだろうか。なお、入賞作品の詳細は、デジタルサイネージコンソーシアムのホームページで見ることができる。

※このコラムは「宣伝会議」2015年8月号からの転載です。