Our TopicsOOHメディア関係者にエール電車内広告の存在が気になる人々も増加
駅の利用状況、首都圏・関西圏で8割に
広告到達者は変化なしとの見方も
2020年は、OOHメディア関係者にとって、大変厳しい1年になったことは言うまでもない。OOH広告の減少は、緊急事態宣言以降の「STAY HOME」により電車の利用者や都心の繁華街に出る人々が減少したからだと捉えられがちだが、広告主企業の宣伝費の縮小による影響も大きい。
とは言うものの、OOH広告は、鉄道利用者による、マス媒体並みのメディア接触可能人数も強みとしてきた。コロナ禍の影響で人々の外出が減った今、人流状況はどうなっているのだろうか。
東京商工会議所が11月4日にまとめた調査結果によると、東京のテレワーク実施率は53.1%。5月下旬から6月上旬にかけて実施した前回調査より14.2%減少したことがわかった。また、テレワークを「一時期実施していたが、現在は取りやめた」という企業も22.1%にのぼり、「出社回帰」の流れが出てきている。
実際、国土交通省の調査である「テレワーク・時差出勤呼びかけ後のピーク時間帯の駅の利用状況の推移」を見ても、駅の利用状況は緊急事態宣言解除後に回復しており、首都圏・関西圏では11月末時点で、8割前後まで戻っていることがわかる。さらに、週に5日以上、頻繁に鉄道を利用する人は減少したが、週に3 ~4日以上という利用者は、7月時点でも8割近くいたという鉄道利用者の調査結果もある。7日間以上の広告掲出・放映期間があれば、同一利用者に接触させる頻度は減ったとしても、広告到達者数はそれほど変わらないという見方もできる。
「電車内や駅に広告がないと寂しい」
「普段以上に注目してしまう」との声も
ビデオリサーチの調査では「電車内や駅に広告がないと寂しい」と感じる人が45.7%、「電車内や駅に広告があると安心する」は40.8%、さらに「電車内や駅に出ている広告は、普段以上に注目してしまうことがある」27.3%など、ある面、OOH広告の社会的受容性の高さも浮き彫りになった。この調査結果は業界関係者を勇気づけるものだ。
一方で、人流解析データ・輸送人員を使った広告料金の設定が東急の一部を除くOOHメディアで試験的に導入されるなど広告費のダイナミックプライシングの動きが出た。さらに、減少率を上回る割引率の販促企画も出始めており、コストパフォーマンスが高いとして、売上は好調。媒体の稼働率も上がっている。
この時期に広告ができる広告主企業は、逆に今がチャンスと捉えて、是非OOHメディアの活用を検討して欲しい。
※このコラムは「宣伝会議」2021年2月号からの転載です。