Our Topics進化した街頭ビジョン

笑っていいとも最終回を放映

フジテレビジョンは人気番組「笑っていいとも!」が、8,054回目の放送をもって終了する3月31日に、新宿のアルタビジョンで、正午からの「最終回」と夜8時からの「グランドフィナーレ感謝の超特大号」を生中継し、放映した。最終回16.3%(関東)の高視聴率だった同じ時間帯、アルタ周辺には大勢の人が集まった。番組開始前には、すでに約1000人が集まっており、番組が始まると入れ替わり立ち代わり、みるみるその数は増え続け、フジテレビによると、最終的にその数はのべ1万人以上になったということだ。多くの人が整然とビジョンに映る番組を見つめる中、ケータイやスマホで撮影する者や、大きく「32年間ありがとう!」と書いたものを持ったグループもあり、長寿番組の終了を惜しんでいた。産経新聞はこの場面を記事にして号外(特報)を出した。運営会社のスタジオアルタによると、これほど集まった例は、近年ないようで、街頭ビジョンのコンテンツとしては非常に強いものだったと言えるだろう。テレビ番組を街頭ビジョンで放映することは、様々な権利関係を処理する課題があり、普通はなかなか実施出来ない。今回は、スタジオアルタの株主がフジ・メディアホールディングスだという関係、さらに最終回ということで各方面に事前の根回しをして実現したそうだ。あまりに人が集まりすぎても問題だが、スポーツ競技などを放映する「パブリックビューイング」なども同様に実現すれば、街ナカのデジタルサイネージのプレゼンスも相当アップすることになるにちがいない。

インタラクティブコンテンツを放映

アルタビジョンは2月20日、街頭ビジョンでは初めてフルハイビジョン対応にリニューアルした。番組放映だけでなく、スマホと連動したインタラクティブなコンテンツによるプロモーションも行われている。2月27日、カシオ計算機は、「可視光通信技術」を利用したスマホ向けアプリ「ピカピカメラ」を使った体験イベントを行った。このアプリは、赤青緑に色が変わるマーカーの点滅パターンを認識することで、画像やメッセージの受信や、指定のWebページヘアクセスができるものだ。アプリをダウンロードしてアルタビジョンに映し出されたマーカーの点滅を読み取ると、「かえるのピクルス」のスタンプが受信出来た。驚いたのは、そのスタンプを使って写真を撮影することができるのだが、写真をツイートすることでそれがビジョンに映し出された点だ。また、スマホ画面に表示された投票ボタンをタップしてキャラクターの人気投票をすると、リアルタイムで結果が画面の数字に反映された。一方、 4月17日から2週間、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、映画「アメイジング・スパイダーマン2」のプロモーションで活用した。ビジョンに映し出されるQRコードをスマホで読み込むと、スパイダーマンの放つクモの糸(ウェブシューター)を敵に当てて点数を稼ぐゲームイベントができた。どちらもインタラクティブコンテンツだ。情報を受け取るだけでなく、自分のスマホの操作が巨大ビジョンへ反映されるのは楽しい体験だ。このように、リニューアルした街ナカのデジタルサイネージ・街頭ビジョンは、新たな魅力、付加価値を持って進化している。ここ1~2年、渋谷地区でも続々とリニューアルが行なわれ、今月は新設もされている。活用を検討してみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2014年7月号からの転載です。