Our Topics触覚に訴える、リアルな00Hメディア展開

さわり心地抜群 ぬいぐるみ素材のポスター

3月26日、東急田園都市線渋谷駅に、ディズニーの人気キャラクター「ダッフィー」の巨大な壁面ポスターが出現した。ダッフィーのおしり、顔、足あとが並んでいて何ともかわいらしい。よく見ると、驚くことにこのポスターには、ダッフィーのぬいぐるみと同じ生地が使われていた。気がついた人、特に多くの女性たちは、スマホ等で撮影するだけでなく、ポスターを撫でてそのさわり心地確かめていた。まさに触覚に訴える広告だ。この感覚は強烈なインパクトがあるようで、ソーシャルメディア上では当然のように話題になっていた。「渋谷にダッフィーのもふもふ広告あった!超可愛い!ひぁあああ」「渋谷にダッフィーいるよー♪ふわふわだったよー!ディズニーいきたくなってきた」。「すごいっ!田園都市線渋谷駅にダッフィーのモコモコ広告がっ!1人でベタベタ触っちゃった」といったコメントが溢れていた。ぬいぐるみは、見た目のかわいさだけでなく、「もふもふ」とか「モコモコ」といった触り心地が重要なベネフィットで人気の秘訣に違いない。事実、東京ディズニーシーでは、多くの来場者がぬいぐるみを抱きながらパークを楽しんでいるそうだ。そのような点を訴え、想起させるにはOOHメディアは最適なメディアと言えるだろう。

中づり広告にのれん生地

ぬいぐるみの生地を使った広告は、その後、中づりでも実施していたが、紙以外の素材を使った展開は、他にもある。 ポッカコーポレーションは5月15日から「じっくりコトコト シャキシャキコーンの冷たいポタージュ」のプロモーションで、本物の「のれん生地」を山手線の中づりに使用した。「冷製」という商品特性を踏まえ、「冷涼感」を訴えるのがその理由だ。のれんの中づりはエアコンの風にうまくひらひらと揺れ、その涼しげなシズル感も出ており、めくるとペンギンのキャラクターが見えた。店頭の販促物も同様に製作し、のれんとペンギンで、一貫したコミュニケーションを図ったとのことだ。 それ以前にもサントリーは、ハイボールの広告で、同様なのれんの中づりを実施している。この時は、のれんをめくると、ウイスキー「角」を持った菅野美穂さんと、お笑い芸人のほっしゃんが現れる仕掛けになっており、「お店ののれん」を想起した。コストの問題もあり、どちらも布を使用したのは一部路線で他は紙のポスターだったが、不思議なことに紙に印刷されたものまでも布製に見えてしまった。 このように、通常使う紙のポスターではなく、布の素材も商品の特徴や世界観をリアルに伝えるという意味では、非常に効果的と言えるだろう。このような手法も検討してみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2012年6月号からの転載です。