Our Topics自分へのご褒美消費、OOHメディアで訴求

渋谷ハチ公前広場周辺を360度ジャック

パナソニックは、「プライベートビエラ」のプロモーションで2014年12月1 日から、渋谷ハチ公前広場周辺のO O H メディアを利用した。屋外広告ボードは11 面、街頭のデジタルサイネージは5 カ所で実施。ハチ公前に立つと、1 周360 度取り囲むように見え、空間をジャックする存在感は抜群だ。ボードは綾瀬はるかさんがビエラを持って「今年は自分にプレゼント」としている表現が印象的だが、「たまの休日も返上して仕事した自分にプレゼント」など、コアターゲットの「働く女性」が共感するメッセージも書かれていた。驚いたのは、綾瀬はるかさんの「渋谷の皆さん!」と言う声が響き渡ったことだ。街頭のサイネージから一斉に声が聞こえ、「音でのジャック感」も効果的だった。メッセージと共に、一般の女性に「今年頑張ったことは?」をテーマにインタビューに答えている様子が流れた。パナソニックが20~39 歳の働く女性400名を対象に行った「年末消費に関する意識調査」によると、「今年(2014 年)は例年よりも仕事が忙しかった」と回答した人のうち、「頑張った自分にご褒美をあげたい」と思う人は94%もいたそうだ。さらに、「仕事が忙しくてやりたいけどできないこと」の第1 位には「テレビを観る(録画含む)」(53 . 8%)であり、「時間を有効活用して家中どこでも見られるテレビがほしい」という人も65 . 7%いたことから、「プライベート・ビエラ」を今年(2014 年)頑張った女性の「自分へのご褒美」として提案するプロジェクトを行ったということだ。担当者によると、渋谷は街自体が情報発信の代表的な街。訴求力の高い屋外広告が集中しているため、効果の最大化が図れる。だからこそターゲットに幅広く&深く伝えられる場所だと考えたとのこと。O O H メディアの一番の利点は「場所」が選べ、「流通」と連動させるには最適なメディアであること。働く女性の「通勤動線」でタッチポイントに直接響く方法としては大変効果的と感じているそうだ。番組露出やW e b ニュースに取り上げられるなど反響も多くあり、S N Sでも「この広告をみると自分に何かプレゼントしてあげなきゃ!っていう気持ちになる」などの投稿があり、企画意図も伝わっているに違いない。店頭での売れ行きも前年比大幅増という結果も出ているようだ。

化粧品でも、自分へのご褒美

パナソニックは、J R 渋谷駅でも大量のポスター展開をしていたが、同時に他社のデジタルサイネージの広告も気になった。綾瀬はるかさんが巨大な化粧品のボトルを抱える映像が見えたので注視していたら、「贅沢なX m a sコフレをご褒美に」というメッセージが出た。P &G マックスファクターのS K -Ⅱの広告だ。C Mタレントとメッセージに共通点があるが、偶然なようだ。S K -Ⅱは、自社の女性に対する調査で、自分に贈りたい、ご褒美スキンケアブランドN o . 1 に選ばれたそうで、「贈るのは、一生もののクリアな肌」というテーマで商品訴求をしている。

このように、自分へのご褒美を動機付けとして使う手法は、普段高額と思われる商品には有効だろう。「1年頑張った」年末の時期と購買地点に近いO O Hメディアでの訴求はより生活者(特に働く女性)に購入の決断を促すに違いない。参考にしてみてはいかがだろうか。

※ このコラムは「宣伝会議」2015年2月号からの転載です。