Our Topics聖地化するOOHメディア
ゲームの世界観を体験
8月下旬から9月にかけて、人気ゲームソフト2つのプロモーションがOOHメディアで話題となった。ひとつは、スクウェア・エニックスのPS3版、PC版ソフト「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」。渋谷ヒカリエの地下で「エオルゼア ミラー」というイベントを実施した。高さ2.5m、長さ13mの巨大デジタルサイネージの前に立つと、等身大の3Dキャラクターが自分の方を向いて現れた。手を上げると、センサーが動きをキャッチし、キャラクターが手を振ってくれた。画質も良く臨場感があり、まるでゲーム上の世界にいるかのような体験ができた。この施策を見るために京都、奈良からわざわざ来た人もいたそうである。
特設サイトに車両の走行位置を表示
もう一つは、PS3の人気ソフト「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」。主要キャラクター33体が、山手線の車体に等身大で現れる迫力の展開だった。電車内も、まど上、中づり、つり革に広告を掲出。トレインチャンネルにはPVが流れ、車両を丸ごと使い「ジョジョ」の世界観を表現していた。車内に突如出現したジッパーの隙間からゲームキャラクターが飛び出してきそうなものや、鉄球がギャルギャルと紙を巻き上げているものなど、中づりには斬新なデザインが見られた。これらは、ゲーム中のキャラクターが繰り出す特殊能力の技を表現しており、ファンにはたまらないしかけ。驚くことに、特設サイトでは、この電車が現在どこを走っているかをリアルタイムに表示していた。これは広告貸切電車に付加価値を与える画期的な手法である。広告利用では初の試みだと思う。ハッシュタグ「#ジョジョASBトレイン目撃」で、報告ツイートも募集。それが、追いかけるファンをより興奮させ、投稿意欲を促した。SCE社によると、ツイッターのRT数は1万を超え、PS タイトルのPR関連投稿では過去最高の実績を記録したという。わざわざ乗りに行ったファンも多く、電車自体がいわば「聖地化」している。特設サイト訪問者の約8割は PS.com 初訪問者だったそうだ。コアなファンは半年以上前に予約購入しており、今回のプロモーションでは新規ファンを取り込むことに成功したといえる。OOHメディアは、手法によって見に来る人が集まる「聖地」とさせることができるのである。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2013年11月号からの転載です。