Our Topics次世代WEBサービスと連動した先進性のあるOOH展開

デジタルサイネージで商品を見て、タッチして、体感する

11月22日、新宿駅東京メトロ地下コンコースの通路壁面に、65インチの「裸眼で見える3Dディスプレイ」が2台登場した。同時に、16台のiPadが通路の柱に設置された。
これは、シチズン時計の次世代ウォッチの操作性やデザインを訴求するOOHメディア展開である。注目の3D映像では、時計の細かいパーツが流れるように、時にはゆっくりと浮遊する様子が見られた。この3Dコンテンツは、眼鏡を着用しなくても見ることができる。
iPadでも、3D映像を使って商品を表示。画面をタッチすることで商品が回転し、あらゆる角度から見ることができた。さらに、竜頭部分を回すと、世界各地の時刻と日付が表示され、商品の操作を疑似体験できた。16台中2台のiPadには、商品のプレゼントキャンペーンへ応募できるQRコードとアクセス先のURLが表示される仕掛けも。
先日『日経MJ』が発表した2010年の「ヒット商品番付」においても、「3D」は大関、「iPad」は前頭に入っている。生活者からの注目度も高い、最先端のデジタルデバイス、テクノロジーを使った広告だった。
さらに先進的で驚いたのは、スマートフォンを使った展開もあったことだ。

WEBサービスとOOHメディアの連動

位置情報に基づいたSNSサービス「フォースクエア」のアプリを設置場所の近くで起動すると、「シチズン アテッサ3Dスペース」のスポットがリストとして現れ、そこに「チェックイン」(来た回数を記録)することができる。広告掲出期間の終了時点で一番多く訪れた人に商品をプレゼントするということだった。
フォースクエアは、アメリカではユーザーが急増し、店舗販促にも使われているようだが、日本ではどうだろう。次世代のWEBサービスのひとつとして普及が期待されているが、この時点では非常に情報感度の高い人たちが中心だったと思える。
ある意味、一日何十万もの人がその前を通るOOHの中で、デジタルデバイスやアプリの操作を通して、先進的で比較的高額な商品の購買層がうまい具合にターゲティングされている事例だと言える。
一方、大阪では12月6日、中央区の道頓堀にかかる戎橋の街頭ビジョンで、WEBコンテンツ「美人時計」と最近注目されているフラッシュマーケティングのクーポンサービスを組み合わせた初の試みが行われた。
その時、その場所でしか手に入らない中華料理店のデジタルクーポンをビジョンに限定表示。DJによるライブ中継を使った呼びかけも行なわれ、その画面を携帯電話のカメラで撮影することにより、店舗でクーポンとして使えるという仕組みで実施された。
このように、デジタルサイネージもモバイルでのWEBサービスも、場所や時間を特定できるものが普及しており、そこに共通性がある。さらにスマートフォンの普及がその連動を後押しする可能性があり、今後も注目していきたい。

※このコラムは「宣伝会議」2011年1月号からの転載です。