Our Topics前例ない企画でイベント盛り上げ 五輪関連のプロモーション
デジタルサイネージで 新聞よりも早く放映
7月23日から8月12日まで、日本オリンピック委員会(JOC)のオフィシャルパートナーである読売新聞は、JR東日本のデジタルサイネージを使い、連日「ロンドンオリンピック」の情報を配信・放映した。
オリンピック開催前は「選手の動静」「現地の様子」、開催後は「競技結果」「当日の開催競技」「選手コメント」など、日本人選手の活躍を中心に伝え、多くの人々の注目を集めた。システム上、リアルタイムとはならなかったが、時差の関係で間に合わなかった朝刊の新聞(号外を除く)よりも、早く放映できたケースもあったろう。もっとも、これを広告と捉えるかは微妙で、タイムリーな情報番組企画と見るべきかもしれない。駅では画面を2分割し、このニュース画像の下に、複数の広告を放映させる使い方をしていた。
事前に複数の広告素材を入稿し、曜日や時間によって変えて放映することは可能だが、毎日入稿・即日放映することは、通常の広告運用ではしていない。ニュースや天気予報などは、随時更新システムにより可能だが、今回はこれを用いた。
このシステムを特別に使って広告運用した例もある。日本コカ・コーラは、オリンピック公式スポーツ飲料アクエリアスで「熱中症情報」の番組連動企画をJRトレインチャンネルで実施した。日本気象協会による「警戒」「注意」等の指数情報を15秒間、一定の時間ごとに更新して表示。その直後に、北島康介選手が出演するCMを放映することにより、連動性もあり、より印象に残る上手な使い方をした。
電車の床面がトラックレーンに
同様にオフィシャルパートナーのアシックスは8月3日~17日まで、「ロンドンオリンピック日本代表選手団を応援するがんばれ!ニッポン!」号を山手線で運行させた。 車体側面には、陸上女子日本代表の福島千里選手の疾走する姿がラッピングされている。電車内は、2020年オリンピックの東京招致活動を応援していることや、陸上競技日本代表選手7名のポスター16種類を掲出した。
驚くことに、床一面に陸上のトラックレーンを再現したフロア広告を実施したのである。1編成全体で200mにもなるものだ。電車内の床は通常、広告として認められていない。しかし、今回は企画の必然性や安全性などが認められ例外的に掲出されたようだ。WEB上でも情報が拡散し、話題にもなった。
このように、オリンピック期間中には、OOHメディアでもユニークな広告展開がされた。広告としてのそれまでの「記録を破る」企画も実施されている。新記録に挑戦してみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2012年9月号からの転載です。