Our Topicsリアルに受験応援メッセージを書いてもらうOOHメディア展開

商品パッケージに応援メッセージを書いて渡す

2017年1月7日から3日間、大塚製薬は大阪阪急梅田駅で「受験応援STATION」と題したプロモーションを行った。受験生へ向けた応援メッセージをカロリーメイトのパッケージに書いてSNSにアップしてもらおうというものだ。実施の背景となったのは、受験生とその母の1年を描いたテレビCMだ。村上虹郎さんが勉強に頑張る受験生を好演、時には感情を爆発させるなど揺れる姿を、神野三鈴さん演じる母が後ろから温かく見守るというものだ。特にラストの受験当日、母から手渡された「大丈夫!」と書かれたカロリーメイトを見て、「ありがとう」と言うシーンは印象的だ。宣伝担当者によると、カロリーメイトに応援メッセージを書いて渡すというのは、元々自然発生的に行われていて、ひとつの文化としてあったそうだ。それをCMで採り上げメジャーなものに押し上げ、根付かせたいという思いがあったとのこと。今回はCMに触れるだけでなく、リアルに感じてもらう人も増やそうという意図があった。ただ自分でメッセージを考え、書いて、撮影をしてSNSにアップするとなると、参加のハードルは低くないだろう。その為に「大丈夫」「Fight!」「応援してるよ!」などと書かれたプロップスを持って撮影するフォトブースも設置した。また会場を大阪にしたのも「お祭り好き、ノリが良い」気質を期待したようだが、結果は見事に成功。両方を行う人も多く参加者は3日間で予想を上回る2,598名にもなった。「気合い、いれや!!背中おしたる」「頑張った日々は必ず必ず報われる!あなたは私の誇りです」など母から子供だけでなく、部活動の仲閒や友人、父、塾の先生からのものもあった。クラス全員へ、受験生全員へ向けたものの他、年始や成人式当日でもあったので自分への決意を書く人もおりバリエーションが広がっていた。真剣に応援したい人を思い浮かべ、それぞれの想いを書く姿が多く見られた。
参加者は10代~20代の若年層が約8割を占め、95%以上がSNSへ投稿。イベント期間中「#見せてやれ底力」を含むツイート数は合計919件、リーチ数は253,576にもなった。ネット上では、「やろうと思っていなかったけど、大阪のを見てまねてみた」など新たな動機付けにもなったようだ。

電車内媒体でメッセージを紹介

一方、東京地区では1月9日から1週間、JRの電車内のドア横広告を行った。そのキャッチは「夢の背中。」とし、実際に勉強をしている受験生の後ろ姿の写真と、メッセージが書かれたカロリーメイトが並んでいるものだった。事前に募集して寄せられたものだったそうだが「いつも学校、部活、塾と一生懸命頑張っているね!家族全員で応援するよ?でもあまり無理しないでね。体を大切に」など我が子を想うお母さんたちの気持ちが伝わって来るものだ。
このように、商品にメッセージを書いて我が子に渡す人たちがいる事実に着目し、それを商品の情緒的価値として訴求し、多くの共感を得た手法は大変優れていると言えるだろう。OOHメディアの活用は若年層への訴求とそれを体験価値にまで高めた効果があったと言えるのでは無いだろうか。受験生応援のプロモーションは、お菓子メーカーの「きっと勝つと、受かる、突破する」など願かけ的なものが有名だが、今回はバランス栄養食という機能を持ち合わせた商品だけに、勝負の時に大切な人の体を気遣う気持ちが託されている点に違いがある。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2017年4月号からの転載です。