Our Topicsラグビーワールドカップ2019開催地へ移動するファンを捉えたOOH展開
複数のオフィシャルスポンサーら
OOHメディアを活用し、訴求を図る
日本の快進撃で大きな熱狂と興奮をもたらしたラグビーワールドカップ(以下、RWC)。開催期間中には、OOHメディアでもオフィシャルスポンサーらが広告展開を実施した。ワールドワイドパートナーのマスターカードは、開催直前の9月16日から決勝戦の翌日まで断続的に新宿駅や渋谷駅で大型ボードやフラッグ広告などを大規模に展開した。
特に好感度の高いリーチ・マイケル選手(ブランド・アンバサダー)の精悍な姿はアテンション効果抜群だった。「この感動をMastercardで。」は、大会が進むにつれ共感されるキャッチコピーとなっていったに違いない。
海外から来た人々のビール消費量が話題となったが、同じくワールドワイドパートナーのハイネケンもJR新宿駅の集中貼・大型ボードなどを中心に「ルールを知らなくたって、にわかで、いいじゃないか、ラグビーワールドカップ」とした展開を実施していた。
オフィシャルスポンサーの三菱地所グループは、スクラムを組んで名刺交換したり、デスクでゴールキックのようにアーモンドを指先で弾くしぐさをしたりするコミカルなテレビCMを山手線の電車内のデジタルサイネージ(まど上チャンネル)で放映している。通勤や仕事で使う電車での放映は、テレビ媒体の補完だけでなく、より身近で共感しやすい訴求手段といえるだろう。
また南アフリカ代表にウェアを提供したアシックス、ニュージーランド代表にウェアを提供したアディダスは渋谷の屋外の広告媒体に広告を掲出。オフィシャル・タイムキーパーのチューダー(TUDOR)はポップアップストアを表参道でオープンし、駅ジャック展開をしていた。
開催地の空港や競技場最寄り駅など移動するファンを捉えた広告展開
同様にオフィシャルスポンサーとなった大正製薬は、リポビタンDの「この1本で、立ち向かうんだ。」の広告を、首都圏を走る各電車の中づりを中心に展開。驚いたのは、ラグビー観戦者が全国各地の競技場を訪れるというポイントを捉え、玄関口となる12の空港内でオリジナルの大型媒体を実施したことだ。
広告主は「リポビタンDのブランドイメージ向上を目的とした点もあるが、ラグビーというスポーツを日本に定着させていきたいという強い思いがあり。広告出稿を通じてワールドカップを盛り上げ、機運醸成を高めていきたかった」と話す。
一方、日本がロシアや南アフリカと戦った東京スタジアムの最寄り駅である京王電鉄の飛田給駅では、公式ソフトドリンクサプライヤーのサントリーホールディングスが大型フラッグに広告展開していた。
このように、RWCという千載一遇の機会に、試合観戦のために開催地の空港や最寄り駅を訪れたラグビーファンを捉えたOOHメディアは、商品訴求や企業ブランドのイメージ向上に非常に有効だったといえるのではないだろうか。特に今回はコアなファンのみならずにわかファンも増大。ラグビーに寄り添った表現で実施した広告がより多く注目され、共感されたに違いない。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2020年1月号からの転載です。