Our Topicsフラッグ広告をデジタルサイネージ化新たな広告手法にチャレンジするOOHメディア
OOHメディアでブランド認知を拡大
普段アプローチしない層にもリーチを
22020年12月14日から1週間、ポータブル電源・ソーラーパネルを販売するJackery Japanは、首都圏11社局の中づりのほか、品川・渋谷・東京・池袋など各駅の広告媒体を使い、移動する生活者に対して生活動線上で重複して接触させるようなOOHメディア展開を実施した。広告戦略的には専門メディアの読者、ファンやフォロワーなどアーリーアダプター層へのリーチを重点的に行っていたが、ポータブル電源市場がアウトドア・防災での需要で成長している中、併せてアーリーマジョリティ層にもリーチをしていく布石として行ったとのこと。
メインターゲットは関東在住の男性30~40代なので、首都圏のOOHメディアとの親和性も高いが、ブランドとしての注目や信頼性を獲得できる広告媒体を検討したときに、信頼性と公共性の高い見え方ができるOOHが最適と判断したという。
また、「冒険に、限りないパワーを」をスローガンとする同社がポータブル電源という製品を通してコロナ禍で働く人々に、元気や勇気、幸せを届けたいという思いから「未知は、心を鍛えてくれる。」「電気は、元気もつくってくれる。」「自然は、ときとしてプレゼントになる。」といったキャッチコピーでシーズン感とメッセージ性を持った広告表現で訴求した。
JR品川駅での実証実験
新たな広告手法の可能性を模索
注目したのは、JR品川駅での展開だ。縦3.2m、左右4.8mもある大型フラッグ3基6面のうち1面を、プロジェクターで動画を投影することでデジタルサイネージ化させたのである。
従来、プロジェクターは暗いところで利用するためにつくられているので、駅構内のような明るいところでは鮮明な映像を映すことが難しい。しかし、今回は1万ルーメンの非常に明るい先進のレーザー光源プロジェクター2台を並べ、同じ映像を「重ね打ち」投影することで視認可能な明るさを実現させた。また、駅構内ではプロジェクターの設置場所を確保するのが難しいという課題もあったが、商品の実機展示を行う広告スペースがあり、上手い具合にその上部に設置することが出来た。ネットワーク配信にも対応させたので、曜日・時間帯別での素材切り替えも可能だ。高精細なLEDには劣るが、液晶のような映り込み・反射もなくまずまずの画質だ。
また、駅構内ではプロジェクターの設置場所を確保するのが難しいという課題もあったが、商品の実機展示を行う広告スペースがあり、上手い具合にその上部に設置することができた。ネットワーク配信にも対応させたため、曜日・時間帯別での素材切り替えも可能だ。
このような試みは、新たな広告手法の可能性を模索する実証実験として多くのWebメディアに取り上げられた。OOHメディア展開の影響だけではないかもしれないが、実施初日は広告主のサイトトラフィックが通常の1.5倍程度まで増えたとのことだ。
アナログなフラッグ広告をデジタルサイネージ化するというこの手法が定番化し、他の場所にも広がっていくのか現時点では未知数だが、コロナ禍の中でも新たな広告手法にチャレンジするOOHメディアに改めて注目してほしい。
※このコラムは「宣伝会議」2021年3月号からの転載です。