Our Topicsデジタルサイネージアワード2017から見る、優れたサイネージ表現
空間をうまく活用し人々を引き込む作品が多く受賞
6月7日「デジタルサイネージアワード2017」の発表が行われた。デジタルサイネージコンソーシアムが、デジタルサイネージを使った表現の中から、優秀作品を選出し表彰することで、サイネージ市場のさらなる活性化を目指しているものだ。
グランプリは明月堂の「巨大X線検査機出現/博多通りもん」。次から次に横に流れていくスケルトンのキャリーケースやバッグ。手荷物検査場でX線検査機にかけられているというイメージだ。その中には、福岡土産「博多通りもん」のパッケージがそこだけ色付きで映し出され、全員が入れているという演出だ。入ってないバッグは止まり、通りもんが入れられ「忘れんとって~」とクレジットが入る。これを福岡空港の出発保安検査場前の大型サイネージで放映した。審査員の一人は「強制視認・ビッグフォーマット・リーセンシー効果の3拍子そろったOOH広告の教科書的な作品」と絶賛、審査委員長からは「今だけ・ここだけのローカルの広告、これぞデジタルサイネージだ。もう一度原点に返って、我々自身の足下を見つめ直すきっかけもくださった。ありがとうございますと申し上げたい」とコメントがあった。この作品は、広告部門とクリエイティブ部門も受賞している。(受賞者:明月堂、オリコム、ビデオ・ステーション・キュー)
クリエイティブ部門は「マジョリカ マジョルカ MAJOLICA MUSEUM」が受賞。東京メトロ丸ノ内線新宿駅のサイネージを使い、驚きの空間を演出した。隣り合う画面に錯視の手法を使った映像を流し、まるで柱をガラスケースのようにして、商品がその中で浮いているように見せたのである。ブランドのコンセプトは「魔法」だそうだが、まさに魔法のミュージアムを出現させたと言えるものだ。この不思議な空間体験は、様々なメディアやSNSで情報拡散した。(受賞者:資生堂、ビービーメディア、メトロアドエージェンシー)
技術・ハードウェア部門とDSC10周年賞は、「FLIP DOT」が受賞。1円玉程の白と黒の円盤を2万5000枚敷き詰め、デジタル制御で反転させて描画させるサイネージだ。これをJR秋葉原駅に設置。インタラクティブな仕掛けも行い、NTTドコモの学割のターゲットである若者達を立ち止まらせての訴求を狙った。レトロだけど新しい表現だ。ドットが切り替わる時に鳴るカシャカシャという音も駅では目立ち、多くの人が立ち止まり参加者は2万人を超えたという。(受賞者:NTTドコモ、カケザン)
インタラクティブ部門と広告部門は「DAZN Human Billboard」が受賞した。Jリーグのストリーミングサービスを開始するDAZNが、神宮前交差点にあるイベント会場の対面にある大型ビジョンを活用した施策。ビジョンにはキーパーが構えていて、参加者がタブレットをフリックするとボールが飛んで行き、決まると「GOAL!!」と表示されるものだ。実況やサポーターもその場で声援を送る演出もあり大いに盛り上がったようだ。(受賞者:Perform Investment Japan、プラチナム、メディアコンシェルジュ、パス・コミュニケーションズ、大日本印刷)。
以上、広告関連のものを簡単に紹介した。入賞作品の詳細は、コンソーシアムのWebサイトで見ることができる。ぜひ見て参考にして欲しい。
※このコラムは「宣伝会議」2017年8月号からの転載です。