Our Topicsデジタルサイネージアワード受賞の凄いサイネージ

1344個の「ポッキー」のパッケージを使ったサイネージ

2016年6月8日「デジタルサイネージアワード 2016」の発表が行われた。デジタルサイネージコンソーシアムが、デジタルサイネージを使った表現の中から、優秀作品を選出し表彰することで、サイネージ市場のさらなる活性化を目指しているもので、今年で8回目となる。グランプリを獲得した「Glico Interactive Signage “Happy Pocky Faces”」は驚くものだった。お菓子で人々を笑顔にすることをグリコらしく表現するために、実寸のポッキー箱型模型1344個にそれぞれモーターを取り付け、その動く角度を制御して映像をリアルタイムに表示する5m四方の巨大サイネージを開発したのである。上海と北京のショッピングモールで開催されたイベントでは、サイネージの前に立った人をとらえ、リアルタイムでその表情を画面に再現した。人々はこの巨大なポッキーの箱で構成される自分の姿に狙い通り笑顔になり、SNSにも積極的に投稿する姿が見られた。動画サイトの再生回数は1,200万回にも上ったという。また、オンライン上でも同じような体験ができるようにしたため、それがより大きなバズを生み、中国最大のSNSであるWeiboでは約5000万回もつぶやかれるほどになったとのことだ。受賞者は、「日本の企業が中国で活躍するために、日本の企業が考え、プロデュースし、日本で作りその技術の素晴らしさを実感した。さらに現場のイベント運営も日本の企業だった」と述べていたが、まさにオールジャパンで勝ち取ったグランプリと言えるだろう。審査委員長からは、「インパクトがあった点、ポッキーの箱というアナログを使っているけどデジタルというところ、日本の企業が作って海外へ進出するモデルを作ってくれたことに、我々のメッセージとしてグランプリを与えることになった」としている。この作品は、広告部門とクリエイティブ部門も受賞している。受賞者:上海江崎格力高食品有限公司、北京?通广告有限公司、IMG SRC Shanghai

スマホと球場のサイネージを使ったボートレースを行う

インタラクティブ部門とロケーション部門で受賞した作品は楽天の「DYNAMITE BOAT RACE Inning」だ。これは楽天Koboスタジアム宮城に設置された大型のデジタルサイネージと観客のスマートフォンを連動させて、40秒のバーチャルなボートレースが体験できるというものだ(広告主は一般財団法人BOATRACE振興会)。参加者はスマホアプリ「At Eagles」を使う。まず、着順を予想して6名の中から応援するキャラクターを選択する。アニメ風だがメンバーは楽天イーグルスの選手たちだ。レースが始まったら、スマホを連打!連打するほど選手のスピードを加速させることができる。連打数に応じて順位が決定され、1・2位を当てた観客にはプレゼントが提供されるというものだ。コンテンツをWebベースで動かしたり、同時に4 ~5000人がアクセスしても落ちないシステム作りなど、インターネットの会社である強みが発揮されている。リアルの場での経験値はまだ少ないそうだが今後が楽しみだ。その他入賞作品の詳細は、コンソーシアムのWebサイトで見ることができる。ぜひ見て参考にしてほしい。

※このコラムは「宣伝会議」2016年8月号からの転載です。