Our Topicsグランフロント大阪のデジタルサイネージ
サイネージとアプリが連携
9月末時点の来場者数が2700万人を超えた「グランフロント大阪」。大阪の新名所だが、デジタルサイネージ視点で見ると、さまざまな目的で多く導入・活用されているのがわかる。まずは館内の施設案内看板だ。単方向型と双方向型があり、館内の情報発信に使われている。特に双方向型は、「コンパスタッチ」と呼ばれ、店舗情報の検索が可能だ。スマホのようにフリップ操作で上下にスクロールができ、お店毎に「いいね」ボタンも押せた。多くの人が直感的に操作していた。時折画面に「憧れの高級家具、ゆっくり見せて頂くことが出来ました」というフキダシが出てきた。これは「まちツイ」という、専用のスマホアプリ機能の一つだ。来街者がスマホを使って施設ごとに投稿をすることができるもので、情報を見たり引き出したりするだけではなく、スマホからサイネージへ送る流れを作ったのは画期的だと思う。アプリとの連携は、看板の前を去っても情報を持って歩けるし、グランフロントにいなくても情報を知るすべにもなる。関係者によると、アプリダウンロード数は約3万に達するそうだ。この機能の利用は発展段階だそうだが、グランフロント大阪の魅力を上げることになるだろう。
BIG!スマホのある店舗
店舗にも多くのサイネージがあったが、中でも注目したのはドコモショップだ。特に「BIG!スマホ」が気になった。画面は60インチで、スマホをHDMIケーブルでつなぎ、その画面を表示。画面をタッチする情報を、スマホの操作情報に変換、それを同期させているようだ。驚くことに、音声認識の機能も使えた。同店によると、機種も色々試し、何度も調整を重ねて完成したとのことだ。コンパスタッチのようにデジタルサイネージのコンテンツがスマホ的要素を取り入れている中、これはそのものズバリでわかりやすい。店頭販促だけでなく、広告サイネージとしても魅力がある。ドコモショップには、巨大画面でAR(Augmented Reality)が楽しめるものもあった。親子連れが、ゲームに挑戦していた。AR は、パナソニックセンターでも実施していた。サイネージの前に立つと、バーチャルな小さい鼓笛隊が自分の足下で演奏をする。最後に画面全体の記念撮影がされ、スマホにダウンロードして持ち帰ることができた。その他、コカ・コーラのサイネージ自販機、サイネージ上で様々な服を試着できるバーチャルフィッティング、若手芸人のショートコントが見られる「お笑い自動販売機」などユニークなものもあった。見る、買うだけでなく参加するという体験価値をプラスさせている施設もあるのがグランフロント大阪の特徴だ。デジタルサイネージを使ったプロモーションのヒントが満載の場所でもある。一度訪れてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2014.1月号からの転載です。