Our Topicsアイロボット「ルンバ」のカスタマーレビューを活用したOOHメディア展開

カスタマーレビューをキャッチコピーにしてポスターに掲載

アイロボットは、新製品「ルンバe5」のプロモーションを駅の集中貼、電車内デジタルサイネージ、広告貸切電車などOOHメディアを中心に行った。将来的にはロボット掃除機を1家に1台に普及させたいという考えから、日本一の乗降客数を誇るJR新宿駅や池袋駅という代表的ターミナル駅を選んだという。同時にターゲットの中心であるファミリー層に対しては、東急二子玉川駅でも同様の展開を実施。幅広い層とセグメントされた層の両方にアプローチした。
広告表現は「仕事と家事の両立は、両方やらなくてもできる。」「そうじの時間が家族の時間になりました。」などのキャッチコピーが何種類も掲出されていた。Amazonや価格.comに掲載された実際のカスタマーレビューも記載されており、利用者の生の声を活用している。今回のケースでは「吸引力がある」といった商品の機能的価値ではなく、生活者のライフスタイルとの関わり方を中心に訴求していたのは優れた着眼点である。実際、筆者の知り合いで0歳児を持つ共働きの者は、「赤ちゃんは床に近い、だから我が家はルンバに変えました。」のコピーに共感し、購入の検討を始めたそうだ。
ルンバのようなロボット掃除機は、全自動洗濯乾燥機や食器洗い機とともに新三種の神器と言われている注目の家電だ。しかし、ルンバは現状認知が90%を超えるものの、世帯普及率はまだまだこれからというのが現実だという。一方で、実際に使った人々からは「もう普通の掃除機には戻れない」という声も多く、宣伝担当者はそのような「お客様の生の声を可視化したい」という想いでこの企画をスタートしたとのことだ。

電車内のフロアを走るような原寸大ルンバの広告が掲出

驚いたのは、東京メトロ銀座線と丸ノ内線の広告貸切電車内ではフロアにも原寸大のルンバの広告があったことだ。まるでルンバが車内を走っているようなビジュアルだ。)商品の設置環境と広告の視認環境が見事に合致した展開だろう。このユニークな展開を、TwitterやInstagramに投稿した人も多かった。
また、電車内のサイネージではサッカー選手の大久保嘉人さんとモデルのAyumiさんを起用した映像も放映。これらはJRトレインチャンネルやWeb広告でも展開している。この中でふたりは、ルンバがあると「心にゆとりができる」「気楽に買い物に出かけたり、ご飯行ったりっていうのがすごくやりやすくなる」と述べ、ルンバの情緒的な価値と言える側面を評価していたのが印象的だった。
このように、カスタマーレビューをうまく活用してOOHメディアで訴求することは、購入の動機づけにもなる。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2019年2月号からの転載です。