Our Topicsつり革からオンラインへ

電車に乗る携帯端末利用者を狙う

4月15日から4週間、大日本印刷は、携帯端末向けの電子書籍サイト「まんがこっち」の広告に、JR山手線のつり革広告を使った。「空いた時間、サクッとスマホでおもしろく」というまんがこっちのコンセプトと親和性の高い「空き時間の多いメディア」を選ぼうと「電車内」に着目。より近い距離で訴求できるという理由でつり革広告にしたとのことだった。つり革につかまると見えるのが「今すぐ、立ち読みしませんか。」というメッセージ。その場で、オンラインサイトへ誘導している。さらによく見ると、まんが風の吹き出しの中につり革ごとに異なるコピーが書かれている。偶然、人の頭上に、「ニヤニヤ」と表示してあるのが見えたが、楽しいまんが的世界観を演出していた。以前は電車内でまんが雑誌を読む人が多く見られたが、最近は少なくなっているように思える。携帯端末で見る電子コミックという形でその行動が復活するか注目だ。 電車内の広告から、携帯端末を使って自社サイトへ誘導したいと考える広告主は多いだろう、事実「検索窓」を入れているポスターはよく見る。「QRコード」や「フェリカ端末」を使う方法もあるが、これを電車内広告ではあまり見かけない。なぜなら規制があるからだ。QRコードを読み込むためにはカメラを起動さなければならないが、電車内では盗撮による迷惑行為と間違われる恐れがあり、さらに優先席付近では、そもそも携帯端末自体の使用を控えなければならない。

進化するWEB誘導テクノロジー

しかし、JR東日本では試行の結果、優先席付近以外のつり革広告に限ってQRコードの表示を認めた。ピザハットは、JR山手線のつり革広告にQRコードを表示し、ピザやコカ・コーラが貰えるキャンペーンを実施した。中づり広告も併用し「つり革のQRコードにアクセスしよう」と促していたのが印象的だった。また、エイチ・アイ・エスは、東京メトロのつり革にフェリカ端末を内蔵させ、タッチするだけでサイトへ誘導させる取り組みを行い、サントリーは、「ペプシ スペシャル」のプロモーションにおいて、東急線のつり革に(+ステッカー広告)国際規格の「NFCタグ」を設置した。対応しているスマホで広告にタッチするとキャンペーンサイトにアクセスし、プレゼントが当たる展開となっていた。企画したサイバーエージェントによると、飲用意向度も上昇し、企画認知ユーザーに関して、ツイッターやフェイスブックなどでの反応も軒並み高かったそうだ。 このように、携帯端末利用者を狙い、電車内広告からオンラインへ誘導する動きはデジタルテクノロジーを使うことでより進化している。検討してみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2013年7月号からの転載です。