Our Topics「販売現場」の付近で展開する商品訴求広告の重要性

駅構内に突如現れたショーウィンドウ

富士通は2010年2月15日から21日までの7日間、東京メトロ丸の内線新宿駅内のメトロプロムナードにおいてFMV2010年春モデルのモバイルパソコンラインナップのプロモーションを行った。
同展開では、新しく発売された軽量・小型サイズの「LOOX U」をはじめ、パソコン5種類を駅構内に展示。中央に9面マルチビジョンを設置して商品の使用シーン映像を放映しながら、両サイドにパソコンをディスプレイした。
普段は壁面にポスターが貼られている場所であるが、突如現れたショーウィンドウに足を止めて商品に見入る駅利用者の姿が目立った。通勤途中のサラリーマンはもちろん、近隣には家電量販店も点在しており、週末のショッピング客に対して商品の認知や興味を高めるきっかけになったことだろう。
また、同商品は電車内でも特殊広告を実施した。JR山手線の複数車両において商品特徴をうまく打ち出した特殊中づり広告を掲出したのだ。「LOOX U」は、リアルポケットサイズを謳う、コンパクトさが最大の特長。その特長をインパクトある表現で実感してもらえるよう、実寸サイズのビジュアルを並べ、その周りを透明な素材で囲み、まるで宙に浮いているように見せたのだ。
前者のショーウィンドウ広告も、後者の中づり展開も話題喚起という点では共通した特殊展開だ。パソコン関連商品は事前に機能を吟味しながら、実際に店舗で実物を見て確認してから購買するというステップが一般的だが、毎シーズン各メーカーから様々なモデルが発売されるため、多々ある競合商品の中から購入候補に入ることがまず大切である。よって、実際の販売現場により近い場所(店舗、周辺駅等)で商品の認知や理解を深めることは非常に重要である。その点を考慮すれば、インパクトのある今回の展開は、FMVモバイルパソコンの認知向上と拡販に大きく貢献したことは間違いないだろう。

コンテンツはさらにデジタル化へ

書籍の電子化が加速している。小学館は1月下旬、同社の人気コミックが携帯電話で閲覧可能なサービス「コミック小学館ブックス」のリニューアルに伴って QRコードで文字が書かれた駅貼りポスターを掲出した。よく見ると文字の一つひとつがQRコードで出来ており、携帯電話を使えばどこから読み取っても小学館の携帯WEBサイトに飛べる仕掛けになっている。電子書籍は今後も増加傾向にあり、あらゆるデバイスが登場してくる。多くの人々が移動中に読むであろう電子書籍について紹介するにはOOHは最適なメディアと言えるだろう。また、日本のほとんどの携帯電話でQRコードが読めるという技術と、QRコードの読み取り方を知っている日本人のリテラシーもこの展開を可能にしている大きな要因といえる。

※このコラムは「宣伝会議」2010年3月号からの転載です。