Our Topics「デジタルサイネージアワード2018」受賞作品が決定、受賞作から優れたサイネージ表現を考える
時間と場所によって時間が変わるダイナミックDOOHが入賞
2018年6月13日「デジタルサイネージアワード2018」の発表が行われた。デジタルサイネージコンソーシアムが、デジタルサイネージを使った表現の中から、優秀作品を選出し表彰することで、サイネージ市場のさらなる活性化を目指しているものだ。今年で記念すべき10回目になった。同アワードから広告表現の参考になるものをピックアップしてみたい。
ロケーション部門賞を獲得したのはサントリーの「金麦花見サイネージ」だ。東京メトロの13駅252面のサイネージを使い、周辺の花見スポットの開花状況を放映したものだ。つぼみ、五分咲き、満開など刻々と変わる花見情報を毎日30分ごとに更新、しかも駅ごとに表現を出し分けて放映した「ダイナミックDOOH(デジタル・アウト・オブ・ホーム)」と言われる手法が用いられている。この施策のために駅ごとに違うクリエイティブを自動で生成、配信するというシステムを開発したという。調査によると本施策は、同程度規模の過去施策に比べて約2~3倍高い認知率を獲得。テレビなどにも次世代DOOHとして取り上げられた。
サントリーは筆者が昨年10月号に取り上げた東京メトロとBOSSのコラボ企画「THE LAST TRAIN」でも広告部門を受賞。「働く人々に寄り添う」「働く人の相棒」という共通点から生まれた感動のサプライズ動画広告だ。これは、JAAの消費者が選んだ広告コンクールのデジタル部門のグランプリも獲得している。
視線を検知してコンテンツが切り替わる
同じく広告部門を受賞したのは資生堂の「マキアージュ Lady Present Box」だ。「日本初人工知能型OOH広告」とした本広告は、顔認識のテクノロジーを使いサイネージの前を通る通行者のデータを性別・年齢別・時間帯別に可視化した。驚くことに商品のどれを見たかを判別し、その商品の見つめていたのはこの色?と視線に合わせて広告コンテンツを切り替え表示したのである。担当者は生活者との接点をどのようにつくるか模索する中で、何か新奇性の高いものをやりたいと思ってこの取り組みをしたとのことだ。課題に感じていたオーディエンスの効果測定や視線検知による生活者とのインタラクションを実現させている。
先進技術を使ったビル壁面へのプロジェクションマッピング
グランプリ・技術・ハード部門、エンターテインメント部門3冠を獲得したのは「YOYOGI CANDLE 2020」だ。NTTドコモ代々木ビル壁面へのプロジェクションマッピングで、未来のパブリックビューイングを目的とした東京2020オリンピック・パラリンピック1000日前記念のライブイベントだった。映像から人物だけを抜き出して 転送する先進技術「Kirari!」を使い、撮影会場で演舞を行うスポーツ選手等を撮影して抜き出し、次世代の超高速・超低遅延通信技術「5G」で伝送し、250m離れたビル壁面へリアルタイムに投影するというものだった。
さらに、映し出された選手にスマートフォンで応援メッセージを送るという参加型の演出も行われた。審査員からは「スポーツのライブエンターテインメントの見方を変えていく画期的なもの」と絶賛されていた。
以上、簡単に紹介したが、全部の入賞作品の詳細は、コンソーシアムのWebサイトで見ることが出来る。是非参考にして欲しい。
※このコラムは「宣伝会議」2018年8月号からの転載です。