Our Topics駅のデジタルサイネージを広告主好みに着せ替える

駅のサイネージがおしゃれに変身

4月6日から1週間、レブロンは『レブロン LOVE IS ON キャンペーン』でOOHメディアを使った。東急百貨店渋谷駅東横店2階では、ポップアップブースが設置され、新作リップのタッチ&トライや、キスマーク恋愛診断などが楽しめた。注目は、この場所にある東急電鉄のデジタルサイネージでの展開だ。サイネージの液晶画面の周りの筐体である柱全体にシートを貼り、広告面として使用したのである。1社独占で実施できる場所ならではの展開で、実際ブランドのカラーが通路全体に広がり、一帯がおしゃれな空間に見えていた。サイネージの前を通る者はその周り(筐体)も一緒に目に入るものだ。筐体は一般的には目立たない無彩色が多く、中でも黒い色は、映像がしまって見えるから良いと考える業界関係者もいる。しかし、デザイン化された筐体は広告効果にも良い影響を及ぼすのではないだろうか。

筐体で春を演出

日本放送協会は3月23日から1週間、この媒体を使い同様な展開をしている。「ときめき満開 春ドキ」と春の新番組情報をサイネージで伝えると同時に筐体はピンク色に染めた。その日東京で桜の開花が発表され、タイミングとしても合致した演出になった。映像自体も出演者が番組タイトルと放送時間が書かれた桜の花びらを模したピンク色のボードを持つというものだった。しかも画面が縦に動きながら切り替わるという、普段なかなか見ない表現で大変印象的だった。

液晶画面と筐体が一体化

昨年2月には、スクウェア・エニックスが「ファイナルファンタジーIV ジ・アフターイヤーズ -月の帰還-」と「ファイナルファンタジーⅥ」のスマートフォン向けアプリの広告で、ユニークな展開をしている。それは、ゲームの登場人物の全身像を、液晶画面と筐体の画像とを一体化して表現していたのである。巨大なキャラクターがサイネージ画面をはみ出して立っているように見えた。

サイネージ画面を塞いで表現

モビットの展開方法はさらに大胆だ。なんとサイネージ画面を塞ぎ、柱全体を媒体として見せる展開をしたのである。昨年から何回か実施しているが、サイネージと筐体を含めた柱は太く巨大で、迫力のある展開となっていた。デジタルサイネージを使わないというのは複雑な心境だが、誰も思いつかなかった発想だろう。このように、筐体を使った表現展開は、注目を集めやすく、独自の世界観をより強く打ち出すのに効果的だろう。特に色による訴求が印象に残りやすい。スマホのケースを変えるように、駅のデジタルサイネージを広告主好みに着せ替える。参考にしてみてはいかがだろうか

※このコラムは「宣伝会議」2015年6月号からの転載です。