Our Topicsワールドカップの盛り上がり 交通広告にも波及

渋谷駅構内のトイレがサムライブルーに染まる

オリンピックと並ぶ、4年に1度のスポーツの祭典「FIFAワールドカップ」が6月11日、南アフリカ共和国で開幕した。
大会期間中、多くの若者たちで賑わうJR東日本渋谷駅には、日本代表選手たちのロッカールームが現れた。ベスト4入りを狙う日本代表チームを応援し、大会を盛り上げるため、公式スポンサーのアディダス・ジャパンなどが駅構内の女子トイレをチームカラーの青でラッピングしたのである。ドアには選手たちの名前と背番号が書かれており、扉の内側には選手のイラストや「岡田監督ベンチを飛び出した」など、それぞれ違うコピーが書かれている。
これは文部科学省の学生支援プログラムのもと、「文化で世界に貢献する」という方針で企業に提案を行っているお茶の水美術専門学校が、アディダス・ジャパンの「日本の20代前半の女性をサムライ・ブルーに染めて欲しい」という依頼に応えたものだ。
ビデオリサーチによると、1次リーグの2試合は平均視聴率が40%を超え、深夜に放送された1試合も30%を超えるなど、国民的イベントといっても過言ではない。このトイレラッピングも、初戦の対カメルーン戦で日本が勝利を収めたことで、当初の予定期間を延長して掲出された。
空間全体を青く染め、ワールドカップならではの湧き上がるような一体感ある雰囲気を再現することで、応援で盛り上がるサポーターだけでなく、普段サッカーに関心が無い層にも広くアピールしていた。それは駅構内のトイレという、公共施設だからこそなせる技ともいえるだろう。

「アナログツイッター」でローカルな話題づくり

著名人がアカウントを開設し、ますます盛り上がるツイッター。一般人でも身近に著名人と交流ができたり、ネット上での知人関係でも“ゆるい”コミュニケーションが取れる点が支持を集め、ユーザーも増加中だ。いまやその登録会員数は全世界で1億を超え、日本でも利用者が1000万人を超えると言われているほどの人気ぶりである。
個人利用者のみならず、企業もアカウントを開設し、ユーザーと交流を持つことができるのがツイッターの特徴。しかし東京都の五反田エリアを走る東急池上線利用者の中では、密かに「アナログツイッター」なるものが話題となっている。
今年2月から「アナログツイッター」を実施しているのは、五反田駅近くにある飲食店「NIRE’S DELI」だ。ビルの4階にある店舗の窓を利用し、ふきだし型のホワイトボードに毎日メッセージを掲げている。ちょうど東急池上線の車両窓から見える位置にあるため、通勤・通学時に定期的に目にする人が多いようだ。
最近は「アナログツイッターを見た」と来店する客も増えたそうだ。デジタルの世界を真似ながらもコミュニケーションの原点にかえった手法。さらに店舗付近を利用する潜在顧客にアプローチするエリアマーケティングの要素もあり、複数のアイデアを盛り込んだ興味深い販促事例と言える。

※このコラムは「宣伝会議」2010年7月号からの転載です。