Our Topicsビッグデータをサイネージ用のコンテンツとして活用

新宿の忘年会予約状況が駅のサイネージに表示

2016年12月5日から1週間、大正製薬は「大正漢方胃腸薬」のプロモーションで、小田急新宿駅南口にあるデジタルサイネージを使ってユニークな展開を行った。大正漢方胃腸薬は「食べる前に、のむ」ことで知られる、食事などによる胃もたれ、胃部不快感に効果のある胃腸薬だ。生活者の行動動線を考えると、駅周辺の飲食店に行く直前のタイミングで訴求できるOOHメディアを使うのは理にかなっていると言えるだろう。映像は小栗旬さんが出演するCMの「ラーメンモンスター」篇がかかっていたが、特に夕方から夜にかけては、その世界観がリアルに実感出来きる場所での訴求になっていた。
ユニークな点は、CMとは別に「忘年会予約状況」という情報コンテンツも放映していたことだ。その日(今日)とその日から1週間分の新宿地区の忘年会の予約状況が、「少ない・やや多い・多い・非常に多い」の4段階で表示してあった。文字で示すだけでなく、胃袋をイメージしたキャラクターの表情や色使いでも表現してあり実感しやすい。多くなるに従ってバックが水色でにこやかだった顔が、赤く困ったように変化していった。人物が映える縦型のサイネージに合わせて、女性を案内役に使い「忘年会シーズンいよいよ本番」「食事会楽しんできてね」「今夜も胃もたれにご注意ください」などと呼びかけるなど全部で6パターンあった。ちなみに「忘年会予約状況」放映中も画面を3分割してCMの放映中もパッケージの露出はしたままで、商品訴求はしっかり行っていた。このサイネージは20面を1社独占で実施できる媒体である。その点も特殊な企画をするのには好都合だったろう。
広告主は、この商品が胃もたれにも効果のある胃腸薬であることをより強く印象づけるとともに、忘年会などによる飲食などで胃もたれする人を少しでも減らしたいという想いで企画したとのことだ。 その日の気象情報などに基づいた「指数連動企画」は以前からあったが、エリアに紐付いた言わばビッグデータをこのような形で見せたのはおそらく初めてに違いない。飲食店情報検索サイトのネット予約データを活用し、12月全体の平均とその日の予約人数を比較して作成したとのことだ。ある意味当然だろうが、金曜日は12月9日も16日とも「非常に多い」と出ており、予約していない人にも参考にもなったに違いない。
単にCMだけを流すより、商品やエリア・時間に紐付く情報を可視化して絡めることで、興味や購入喚起がより高まることを狙った手法でデジタルサイネージだからこそ可能だったものだ。今回は日本最大級の繁華街新宿で、忘年会による胃もたれに注意を促す啓蒙効果も発揮していただろう。薬事法などを踏まえ、表現には入念な事前チェックを行った上で企画するなど難しい面もあったようだが、広告商品に紐付くビッグデータは各社それぞれ色々と考えられるだろう。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2017年2月号からの転載です。