Our Topicsデジタルサイネージアワード2013
参加型・体験型サイネージが多数
6月12日から3日間、デジタルサイネージジャパン2013が幕張メッセで行われ、初日にはデジタルサイネージアワード2013の発表があった。昨年度内に国内で放映し公募したデジタルサイネージのクリエイティブ作品の中から、優秀な作品を選出し表彰することで、デジタルサイネージ市場をさらに活性化していくことを目指したものだ。今回の特徴は、受賞作品9つのうち、7つがデジタルテクノロジーを使ったインタラクティブな参加型・体験型サイネージだった点だ。その中から広告プロモーションとして使われたものを紹介する。
体験(経験)価値の創造
auは「auスマートパス」のプロモーションで新宿駅前の公道スペースに、横幅約5m、全長約30mにおよぶインタラクティブサイネ―ジストリート「THE FUN GATE」を出現させた。ゲートを通った人の顔をわずか1秒でポリゴン化し、auスマートパスの歌を歌う動物キャラクターの顔へとすぐに合成した。その姿は立ち並ぶサイネージに、アニメーションバナーとなって次々と放映されていった。なんとも楽しいできばえ。合成された自分のキャラクター画像はスマホに入れ持ち帰ることも可能だった。2日間で約1万人がゲートを通過し、約5000パターンのアニメーションバナーが生成されたという。ブロンズ賞のバカルディ ジャパンは「ココロを解き放つ」というブランド価値を伝えるため、「お酒を飲むと声が大きくなる」というドリンカーの特性に着目。人々の叫び声の大きさに比例して胸元が透けるという特殊なサイネージ衣装を着たバカルディ・スクリームガールズを、日本各地の繁華街に出没させ、一定以上の大声を出した人にカクテルを提供した。味の素ゼネラルフーヅは、2日間限定のカフェイベント「Blendy &MAXIMハッピーStickドリンクバー」を、六本木ヒルズアリーナで開催。大日本印刷はそこで、巨大なスティックオブジェに抱きつくと、クリスマスツリーをプロジェクションマッピングで投影し19種類(商品の種類分)に変化させた。昨年東京駅で実施され認知度もあがったプロジェクションマッピングだが、インタラクティブな仕掛けにしたのは、日本初。屋外広告物条例で100㎡規制のある広告としての活用を考えると、オブジェを作ってそこに投影する方法は規模も現実的で参考になった(ブロンズ賞)。これ以外でも、入賞したインタラクティブサイネージでは、視認者が参加する仕掛けが多く見られた。デジタルサイネージが単なる看板ではなく、視認者とのコミュニケーションツールとなっている点に注目だ。これらを通して人々の「体験(経験)価値の創造」をしたと言えるのではないだろうか。「顧客とリアルなスペースでデジタルなものを使ってリアルなコミュニケーションをすることができた」とも言える。ここにインタラクティブなデジタルサイネージの価値がある。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2013年9月号からの転載です。