Our Topicsオンラインストアの服をOOHでショールーミング

アイドルにタッチして声を聞く広告

ゴールデンウィークの期間を中心に、ニッセンはJR品川駅で体験型プロモーションを行った。人気アイドルNEWSの等身大パネルが特設の大型電照ボードに描かれてあり、テレビCMのラストシーン同様4人とも商品のレディスカーディガンを着ていた。驚くことに彼らの手にタッチするとセンサーが働き本人が語りかけるという仕掛けがしてあったのである。昼間は「ちゃんとお昼食べましたか?」「調子どぉ?」「元気?」「こんにちは!」だったが、夜には「お帰りなさい」「お疲れ様」「こんばんは!」「気をつけて帰ってね!」に変わるなど時間帯に合った内容にしていた。多くの女性がタッチ体験に参加し、スマホで撮影をしていたが、彼らの声を録るために動画で撮影する人も見られた。CMでのせりふ「触れたい」もあったそうだが、出現頻度は少なく、これを聞きたいため何度もチャレンジした人もいたようだ。

メンバーの服に触る広告

ニッセンは1月にもユニークなタッチする体験型広告を行っている。これはGWと同様に、この春からメッセージしている「touch n, さわってみて、新しいnissen」の世界観を具現化しているものだ。東京メトロ新宿駅の大型ボードに等身大パネルを貼り付けていたのだが、この時は、実物の服「日本製裏毛パーカ」のレディースモデルを着せていた。多くの女性がスマホで撮影をしていたが、狙い通り服にさわる人もいた。時折ファスナーを動かしている姿が目に付いたが、その理由はおろすと彼らの胸元の一部が見える仕掛けがしてあったからのようだ。ネット上では「残念なことに(笑)、ファスナーは全部下げることができない」、「さわって!って言われたけど恥ずかしくて触れなかったよ(笑)」とドキドキ体験を述べるものが多く見られた。中には「ニッセンさんありがとう!パーカー買います。」という声もあり、このプロモーションは成功だったなと思った。

縦型サイネージで服と価格を訴求

OOHメディアにおいてモデルと服の広告といえばH&Mの広告だ。特に駅 にある縦型のデジタルサイネージでの表現が素晴らしい。表現要素は服、それを着た魅力的なモデル、魅力的な価格とH&Mのロゴというシンプルな作りで、いくつか商品を切り替えて見せている。駅では人々は歩いており他のメディアと視認する態度が違うことを想定した表現手段と言えるだろう。画面を3分割してテレビCMの素材を真ん中に入れる例も少なくないが、縦型全画面だと商品を全身を大きく見せることが可能で一瞬でわかる表現となりやすい。4月14日に公式オンラインストアをオープンしたがOOHでもこの告知をした。街頭ビジョンではCM の動画を放映していたが、新宿三丁目駅のデジタルサイネージでは、縦型にして放映していた。このように、OOHメディアを使いオンラインストア(リアル店舗含む)で売っている服を見せ誘導する手法は、良い意味でのショールーミングと言えるのではないだろうか。本来の意味とは違うが、自社オリジナル商品の場合は有効だろう。等身大のモデルの魅力で惹きつけ実物に触ってもらう手法は、OOHメディアでしかできない。随所に女性の心を捉えるしかけをしている点も優れていた点だ。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2016年7月号からの転載です。