おすすめコンテンツジェンダーバイアス測定基準 「GEM®」
近年、広告業界ではジェンダーに対する偏った描写が原因で、炎上騒動に発展するケースが少なくありません。
また、日本のジェンダーギャップ指数は125位/146ヵ国中(2023年)とまだまだ多くの課題を抱えています。
そこで、オリコムでは広告からジェンダーギャップのない社会の実現を目指し、広告表現における偏見や差別、固定観念といった性別へのバイアスを感覚的な判断ではなく、客観的に測定・評価するサービス「GEM®」を日本初の事業として展開しています。
最新トピックス
- 2024年10月18日:『Advertising Week Asia 2024』レポート掲載のお知らせ。
- 2024年10月1日:公益社団法人日本アドバタイザーズ協会(JAA)にてワークショップを開催しました。
- 2024年8月28日:『「炎上から学べる社会」を目指して、広告の未来を市民と作る”AD-LAMP”の取り組みとは』特別インタビューを公開しました。
- 2024年7月10日:Commerce Summit 2024にGEM®推進プロジェクトメンバーである渡辺澪が登壇しました。
- 2024年6月7日:講談社で行われたGEM®に関するトークイベントレポート記事が公開されました。
- 2023年1月31日:広告コミュニケーション活動におけるジェンダーバイアスの測定基準「GEM®」をアドテック東京とオリコムが日本で本格始動。
ジェンダーバイアス測定基準の「GEM®」とは
GEM®は2016年に発足した全米広告主協会の研究機関「SeeHer」によって開発され、現在、世界14ヵ国で用いられているグローバルスタンダードな調査手法です。
日本ではオリコムが調査運営担当としてGEM®の推進を担っています。(日本においてGEM®を扱うことができるのはオリコムのみ)
また、日本のGEM®では世界各国で行われている定量調査(=GEM®スコア)に加えて、定性調査(=インタビュー)を組み合わせてサービスを提供しています。
定量調査(=GEM®スコア)
GEM®スコアでは、広告に出てくる人物に対してジェンダーバイアスがないかを定量的に計ることが可能です。
ジェンダーバイアスにおける4つの指標が存在し、各指標に対して、性別・年代ごとにスコア化されます。
スコアは100が基準値となっており、100を上回る場合はジェンダーバイアスの観点で広告表現は良いとされ、下回る場合は改善の余地ありという評価となります。
①Presented
表現上の女性・男性はどのような印象を持たれたか
②Respectful
女性・男性を軽蔑ではなく尊重した表現になっているか
③Appropriate
女性・男性の特集のされ方・切り口が適切な表現であるか
④Role Model
女性・男性のありたい姿が描かれている表現か
【日本独自】定性調査(=インタビュー)
GEM®スコアの結果に対して、高・低の要因をインタビューから探ります。
特に日本人の場合は、ジェンダー意識が顕在化していないことも多いため、ストレートな質問を投げかけるのではなく、丁寧な会話を重ねていくことで、深層心理にある気持ち(=インサイト)を洞察し、クリエイティブ表現に対する反応と紐づけてスコアの検証を行います。
なぜ今、GEM®が必要なのか
作り手側の感覚だけに頼った「ジェンダー表現」への配慮の限界
オリコムの調査によると、マーケターの9割が広告を作る際は「ジェンダー表現」に配慮していると答えた一方、普段目にする広告は「ジェンダー表現に配慮されている」と答えた生活者は3割に留まります。
もう少し詳しく見てみると「ジェンダー表現に配慮をしている」と答えたマーケターの約半数は具体的な対策もしており、ジェンダー視点でのクリエイティブチェックはもちろん、意見の出しやすい体制や機会を設けていることが分かりました。
にもかかわらず、なぜ、作り手と受け手の評価にギャップが起きるのでしょうか。
そこにはアンコンシャス・バイアスの存在があります。
チェックをしていたにも関わらず広告が炎上してしまうのは、このアンコンシャス・バイアスが個々だけに留まらず、集団でも起きているためだというのが、私たちの考えです。
ブランド(企業)に対するレピュテーションリスクの拡大
同調査で生活者に対して「ジェンダー表現への配慮に欠ける広告を見た際、意識または行動に変化が起きるか。」と質問したところ、「はい」と回答した人は半数に上りました。
利用や購入の中止といった直接的なリスクは高くないものの、その企業・ブランドに対する好感度が下がると回答した人は多く、今後生活者のジェンダー意識が高まるにつれて、意識・行動の変化はより大きくなると予想されます。
広告はターゲットの人“だけ“に評価されるものではない
例えば、TVCMは番組ごとの視聴層は存在するものの、ターゲット“だけ”に届くことはありません。
また、WEBコンテンツであっても近年はSNSのバイラルの力で、今の自分に関係がないものであっても目につきやすくなっていることは、体感としてあるのではないでしょうか。
私たちはアプローチしたいターゲットからはもちろん、将来の顧客になり得る全ての人への配慮の必要性が、今後ますます高まると考えています。
GEM®導入の3つのメリット
1.ジェンダー視点において、客観的な判断基準を提供
先述の通り、GEM®では定量的にジェンダーバイアスを測定・評価します。
アンコンシャス・バイアスがあるからこそ、感覚“のみ”に頼るのではなく客観的な判断基準を持つことで、ブランドに対するレピュテーションリスクを最小限に抑えることが可能です。
2.作り手と受け手の“ズレ”の要因を定性的に可視化
従来のクリエイティブ評価の調査とは異なりインタビューを用いることで、広告に対する受け手の心の機微を可視化できるため、次回の表現改善につなげやすいと導入企業様からは好評いただいております。
3.オンターゲットはもちろん、ターゲット以外からの評価が分かる
GEM®は広告のターゲットに限らず、あらゆる世代に対して調査を行うため、その広告が社会全体としてどのように受け止められたかを定量・定性両面から把握することができます。