Our Topicsコンテンツとメディアの融合 ―クリエイティブがカギに―
クリエイティブの力で商品の世界観を体現
7月14日、気象庁は関東での梅雨明けを発表。平年より6日早い夏の訪れを祝し、JR恵比寿駅には人気ゲームソフト、『ぼくのなつやすみ』のキャラクター・ボクくんの巨大風鈴が登場した。
これはソニー・コンピュータエンタテインメントより発売となった人気ゲームソフトの最新作『ぼくのなつやすみ4 瀬戸内少年探偵団 「ボクと秘密の地図」』のプロモーションの一環で、気象庁の発表に合わせ、風鈴の短冊には「祝・梅雨明け」のメッセージが書かれていた。
『ぼくのなつやすみ』というゲーム自体が持つどこか懐かしい雰囲気が、夏の暑さを癒してくれる風鈴の優しさに重なっており、媒体の使い方とコンテンツが非常にマッチした事例であった。商品のイメージと広告の表現方法に共有できる印象があれば、記憶にも残りやすい。OOHはクリエイティブに幅があるメディア。クリエイティブの力で最大限に商品を表現できるこの分野にはまだまだ可能性が秘められている。
増える貼り付け型広告と今後の行方
ここ数カ月の中で交通広告において多用されていた手法がある。それが「貼り付け型」広告だ。駅構内に掲出されるポスターに小さなカードやチラシを貼り付けておき、それを駅利用者に取っていってもらうという手法。一見アナログではあるが、近年はこすると香りの出るものや、QRコードが印刷されており、携帯電話で専用サイトにジャンプできるものなどさまざまな工夫がなされている。
今でこそ一般的になりつつあるこの手法も、30年ほど前に初めて実施された当初は、利用者がその場で捨てるのでゴミになるといった理由で厳しく規制されていたようだ。時代の流れとともに緩和され表現の幅が広がった。
インターネットの出現で今ではWEB上への誘導経路のひとつとして使われることもしばしばとなった貼り付け型広告だが、今度は情報があふれる時代の中でいかに通行人の興味をひき、持ち帰って見てもらえるかという点に論点を置かなくてはならなくなった。ここでもまた、クリエイティブによる新たな方向性が必要になってきている。
※このコラムは「宣伝会議」2009年8月号からの転載です。