Our Topics駅の景観を左右するポスター 華やかに駅を彩る
駅・エリアと広告の良い関係
12月に入ってから早くも、クリスマス商戦に向けた広告展開が始まっている。とりわけ賑やかなのは高級ブランドが軒を連ねる表参道エリアだ。東京メトロ各駅の中でも、表参道駅への集中出稿は他の駅と一線を画す実績を持つ。ここ数カ月でも、雑誌『VOGUE』とタイアップしたティファニーや、シー・バイ・クロエ、フォリフォリなどのハイファッション、アクセサリーブランドが名を連ねた。表参道エリアのイメージに合う洗練されたクリエイティブで、見る人の気分が高揚するようなビジュアルが多い。
東京メトロは近年、各駅構内のリニューアルに力を入れている。駅の美化に積極的に取り組むことは、駅そのものに好感を抱かせるだけでなく、掲出された広告の印象をも良くするはずだ。表参道駅でも、いわゆる「駅ナカ」の商業施設「エチカ」をオープンしたほか、トイレの改装などを進めてきた。
一方、構内のバリアフリー化や、耐震工事などで、駅が生まれ変わるとともに、広告スペースが減る傾向も見られる。広告が美観を損ねないための手立てを考えながら、駅と広告が良い関係を保てるような道を探していくことが必要とされている。
AKB48の写真 4800枚を大公開
三菱化学メディアは、USBメモリーやDVDなど記録メディアのグローバルブランド「Verbatim(バーベイタム)」が日本市場へ進出するにあたり、アイドルグループ「AKB48」を起用したキャンペーン「記録せよ! AKB4800!」を11月16日から12月31日まで実施した。
メンバーの写真4800枚を印刷したポスターを首都圏各駅に掲出、一部の駅のポスターには写真1枚1枚をシールのようにはがせる工夫が施されていて、写真を手に入れようと群がるファンの姿が見られた。
このシールの裏面には、PC専用キャンペーンサイトのURLが記されている。同サイト上からはAKB48のメンバーのプライベートショット4800枚がダウンロードできる仕組みだ。
駅貼りの広告では、移動中に見てもらうようモバイルサイトのURLを記載する場合が一般的だが、今回はPCで用いる記録メディアの広告ということもあって、PCからのみアクセスを狙ったようだ。
今回の例のように、タレントや企画に力のあるキャンペーンであれば、アクセス元の機器を限定したWEBサイトでも成立するかもしれない。しかし、消費者がインターネットにアクセスする手段は増えてきている。そのためデバイスを選ばない、ハブとなるWEBサイトを設けておくことが重要なことに変わりはない。魅力的なコンテンツと多様なアクセス手段を受け入れることが、消費者にメッセージを伝える上での両輪なのだ。
※このコラムは「宣伝会議」2009年12月号からの転載です。