Our Topics駅構内でイベント実施 ソーシャルメディアで中継も

ガムテープアートでセールスポイント訴求

ゴールデンウィークを迎えた5月上旬、東京メトロ新宿駅構内では東京藝術大学の学生たちが何やらボードにガムテープを貼り付けて黙々と作業をしていた。
これはコクヨS&Tが主催する「のりがつきにくいハサミ<エアロフィット>で挑戦!―東京藝大生がガムテープアートを制作―」と題したイベントの一環で、「粘着テープを切っても粘着材が刃に付きにくい」という同商品の特性を訴求するために、東京藝術大学の学生がエアロフィットと市販のガムテープを使って切り貼りし、アート制作に挑戦するというもの。
8日間かけて完成させた壁面アートは、その後さらに6日間は広告として掲出。完成までに使用されたガムテープの長さを答えるクイズキャンペーンへと連動していく。
制作期間中は現場の様子をユーチューブで公開。ブログでレポートしたり、ツイッターで学生への応援メッセージを募集するなど、各方面から盛り上げてプロモーションとしての一体感を出していた。
掲出場所であるメトロプロムナードを行き交う人々は、東京藝大生の作業風景はもちろん、完成した作品にも興味津々の様子で、ガムテープだけで作られている一つの絵を不思議そうに、また感心した様子で眺めていた。その完成度の高さはもちろんのこと、「粘着材が付きにくい」という商品訴求点を「実際に使用したガムテープのメートル数として数値化し、PRする」という点に落とし込んだキャンペーンの視点も、素晴らしいプロモーションであった。

オープンに合わせて集中出稿 マス広告を補完する交通媒体

夏の旅行シーズンを控えた5月中旬、旅行代理店エイチ・アイ・エスは「おもてなしの旅」をコンセプトに、通常商品よりも高価格帯で上質な旅を提案する新ブランド「QUALITA(クオリタ)」を立ち上げた。ワンランク上の商品を提供するというサービスを特長として打ち出し、出店の立地も銀座、表参道、新宿と、「上質」をイメージさせるような街を選んだ。
当日はイメージキャラクターの女優、リン・チーリンが同席した記者会見の映像がテレビをにぎわせたが、このオープニングにあわせて交通広告も展開。まず、リーチ、視認率ともに全交通広告媒体でもトップクラスのJR線中づり広告を実施。店舗最寄りの東京メトロ銀座駅では柱巻き広告などの臨時集中展開を行った。また、東京メトロ丸ノ内線内ではホーム上のデジタルサイネージで動画を流すなど、新たなサービスのスタートを盛り上げた。
こうした実店舗を伴う業種において、キャンペーンのオープニングにOOHは効果を発揮するかという疑問は、クライアント側からも頻繁に投げかけられる。確かに電波系メディアのリーチには及ばないが、単一メディアでは取得しきれない層や、店舗沿線を利用している、言わば潜在的ターゲットには深く刺さるという可能性もある。また、「近隣に店舗がある」というメッセージを伝えるランドマーク的な役割を果たす意味でも、OOHはキャンペーン展開において有効な媒体といえるだろう。

※このコラムは「宣伝会議」2010年6月号からの転載です。