Our Topics生まれ変わった博多、大阪駅でデジタルサイネージが拡大中
設置数は350面超 日本でも最大級の集積度
5月4日、関西最大の交通拠点であるJR大阪駅が、「大阪ステーションシティ」としてグランドオープンした。駅ビルの商業施設と一体化し、ひとつの「街」として生まれ変わった。東日本大震災に配慮して手放しの祝賀とはならなかったようだが、日本全体を萎縮させないために「関西が、がんばる」という思いも感じる。初日には約80万人を集めたという。
新しくなった駅構内でも、特に目に付くのがデジタルサイネージだ。駅構内の広告や商業施設の情報ボードとして活用され、駅コンコース、店舗入り口や、エスカレーター脇などに設置された。関係者の話を総合すると、その数は350面を超え、集積度は日本でも最大級になるだろう。
広告メディアとしては、JR駅構内に98面分が新設された。特に連絡橋には、206インチ相当のマルチディスプレイや、12面を横一列にし、幅9メートルの大きさで、インパクトがあるものが設置された。南北の自由通路の柱には連続して16面、御堂筋口のコンコースの柱にも合計21面が設置された。
店舗案内としては、タッチパネル式が採用された。オープン時には、人々はどこに何があるかわからない。その知りたい情報をコンテンツにするのは、見る必然性もあり有効だ。操作していた20代の女性に話を聞いたところ、「紙よりも速く調べられるので便利です」とのこと。採用については議論があったようだが、公共施設での情報の調べ方を変えていくのではないだろうか。
駅のイメージにデジタルサイネージを合わせた
震災の直前には、福岡の博多駅が「JR博多シティ」としてリニューアルされた。ここでも、デジタルサイネージが主にコンコースの柱に22面新設された。博多駅は、有田焼の白磁陶板を壁や柱に使用している。その空間イメージに合うよう、額縁や筐体の色調を合わせたという。
このように、最近では駅が大きく生まれ変わった時に、デジタルサイネージを採用する例が相次いでいる。そのロケーションも、先行して導入したJR東日本の例を研究したようで、視認性も考えられている。通行人の動線に正対して60インチ以上の縦型大型ディスプレイを柱に連続的に複数配置するのが定番と言えそうだ。
生まれ変わった駅は、魅力も増し、それだけ多くの人が集まる。そこに採用される駅のデジタルサイネージも、新しいOOHメディアとして注目してみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2011年6月号からの転載です。