Our TopicsOOHメディアの主役級になった電車内デジタルサイネージ
電車内広告の王者中づりを デジタルサイネージが超えるのか?
電車内にあるデジタルサイネージへの広告需要が高まっている。今年(2012年)3月は、JR東日本だけでなく、東急、東京メトロの広告枠もほぼ完売になった。元々JRは人気があり、今年度で9年連続売り上げを伸ばし、昔からの代表的な媒体である中づりを超える可能性もあるという。もっとも中づりは、主要な広告主である雑誌の広告の減少が響いているに違いないが、3月はこちらもほとんど完売している。
ビデオリサーチが行った交通広告の媒体別広告注視率の調査では、電車内にあるデジタルサイネージが85・6%とトップになっている。次が中づりで74・9%だ。注視率とは、「見かけたものはほぼきちんと見る。関心のあるものだけきちんと見る」と答えた者の合計した割合である。同様な調査は「関東交通広告協議会」でも車内広告ユニット別の視認率調査として、実施している。これでも75・7%でトップ、2位は中づり69・7%だ。JRのドア横新Bなど個別の広告商品では広告到達率がより高いもの(49・8%対38・5%)もあるが、誰もが見るドア上の業務表示画面の隣に多く設置される点もあり、媒体の認知は高い。
広告設備としても設定路線が増えている。JRは山手線、中央線快速、京浜東北線、京葉線。必ずしも全編成ではないが、東急、東京メトロ、西武、埼玉高速、横浜地下鉄、成田エクスプレスやスカイライナー。関西ではJR西日本。昨年からは相鉄線にまで拡大している。「最近よく見かけるようになったね」といった広告主の声もよく聞かれる。
電車内デジタルサイネージは、テレビ広告を実施している広告主の利用が多い。音声は出ない点と一部アスペクト比が4対3のものがあるが、字幕を入れるなりして流用が可能だ。テレビCMを購買時点に近いところで放映し、リマインド効果を発揮できる。それだけでなく、テレビなどで届かない人々にも訴求が可能だ。
22.6%が交通広告だけから認知
オリコムの広告認知調査によると、交通広告を他のメディアと一緒に実施した92ケースのうち、22・6%が交通広告だけからの到達という結果が出ている。デジタルサイネージだけでなく交通広告全般の効果と言えるが、JR東日本企画のキャンペーン調査でも、同様なケースは見られる。一般の調査ではしないだろうが、調査対象者を「鉄道利用者」に限定するとこのような結果が見えてくる。
このように、電車内のデジタルサイネージは設置が増え、媒体の認知が高まるに比例して、広告需要も高まっている。メディアミックスの中でOOHメディアのメイン媒体として検討してみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2012年3月号からの転載です。