Our Topics水や氷を使ったOOHメディア展開
駅構内に雨を降らせる日本初の試み
6月27日から5日間、フジテレビは新番組「ビューティフルレイン」のプロモーションで、JR品川駅に雨を降らせた。豊川悦司さんと人気子役芦田愛菜さんが親子の役で出演するドラマだが、芦田さんの役名が「美雨」というところからの番組タイトルだ。駅構内に降雨機を持ち込み、番組の世界観に合わせて雨を降らせ続けた。元々この装置は、「シャワースクリーン」と呼ぶもので、プロジェクターで映像を投影する水のスクリーンとなるものだ。デジタルサイネージ関連の装置とも言える。受け皿となる水槽を作り、ポンプで水を循環させ、その勢いを美しくなるように調整して活用した。駅構内に水が流れる広告物は珍しく、時折手を触れようと近づく人も見受けられた。商業施設には、夏場にドライミストを出し、通行者にクールダウンしてもらうケースもあるが、そのような効果もあり、季節的にも注目を集めるものだったと言えよう。
水が流れる媒体で、耐水性能を訴えた
水が流れる施設を、広告スペースとしているところが六本木ヒルズにある。メトロハットのエスカレーターを上がったら見える「水景」というものだ。7年前の7月、ここにカシオ計算機は携帯電話の巨大モックを設置した。それ自体だけでもインパクトがあったが、水に触れさせ、商品特長である「耐水(防水)機能」を訴えるという、実にうまい使い方をしたのが印象的だった。
16年前にも実施された本物の「氷」を使った広告
駅構内で、本物の「氷」を使った広告事例もある。平成8年8月のことだったが、メトロ(当時は営団地下鉄)の改札付近や案内カウンターなどに、高さ約50センチの氷柱を42カ所設置したのである。小学館の人気漫画の主人公が氷の中から「暑中見舞い申し上げます」と呼びかけるしかけだった。当時、地下鉄はその夏から車内を100%冷房化したが、駅構内でも涼しい気分を味わってもらおうと企画された。新聞等にも紹介され話題になったが、今なら、ソーシャルメディアでの拡散も見込めたことだろう。好評で、翌年も実施されている。 このように、都会のOOH空間の中で、水や氷を使った広告展開は、商品との関連を考え活用すれば、特に暑い夏には共感を呼びやすく効果的と言えるだろう。検討してみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2012年8月号からの転載です。