Our Topics通信回線を繋いで実現 街頭ビジョンにライブ映像を配信

イベント風景をライブ配信で伝える

7月23日、キリンビールは、東京・渋谷のヒカリエで「氷結」のプロモーションとして、テクノポップユニットPerfumeのライブイベントを開催した。冒頭、ステージ上に3人が登場したが、何となく体が透き通っているように見える。実はこれ、ホログラフィックを使った立体映像。しかし、遠目にはほとんど実物と見分けがつかない。そして、この3人は、激しくレーザー光線の飛び交う中で、CMソングのパフォーマンスを披露した。2曲目の間奏で、突如本人たちが登場し、ホログラフィック映像と6人でダンスを繰り広げたその瞬間、会場から耳をつんざくような大歓声が上がった。見事なサプライズ演出で、「すごすぎて何がなんだかもう」「鳥肌立ちまくった!」などと書き込みがされ話題になった。
さらに驚くことに、この様子を全国5都市の街頭の大型ビジョンで生中継していたのである。このように一定の時間、街頭ビジョンの広告枠を買い取ってライブ映像を放映したいという要望は少なくない。なお、この中継には、回線の安定性に定評のある衛星回線が使われたようだ。一方で、設備が未対応とか安定性に不安があると言われていたが、費用が安くすむ通常のインターネット回線を利用した例も出て来てきている。
昨年1月、新宿のアルタビジョンでは、JAXAの人工衛星打ち上げの瞬間を生中継したことがある。JAXAの丸の内の拠点から臨時回線で映像を受け、それを全国4カ所の街頭ビジョンへインターネットを通してライブ配信したのである。また、昨年12月には同じ新宿のヤマダ電機にあるユニカビジョンで、インターネット放送専用インフラ提供会社であるJストリームの協力のもと、映画「ミッション:インポッシブル」のファン・ミーティング・セレモニーの様子を生中継している。共にニュース性があり、ライブコンテンツの力も強かったため、大勢の人が見ていたようだ。

インターネット広告の試験配信を行う

マイクロアドは、8月にパス・コミュニケーションズと共同で、渋谷・原宿・有楽町の街頭ビジョンに、インターネットのディスプレイ広告の試験配信を実施した。広告配信の統合プラットフォームDSPを用い、各エリアや時間ごとに、ターゲットに最適化された広告コンテンツを配信した。主にテレビCMの補完媒体として広告活用されている街頭ビジョンに、インターネット広告の可能性を追求した点は画期的だ。
このような動きはインターネットと繋がっている他のデジタルサイネージまで広がるかもしれない。課題もあるだろうが、今後に注目していきたい。

※このコラムは「宣伝会議」2012年10月号からの転載です。