Our Topics韓国ソウルのOOH事情
話題のバーチャルショップは健在
日本鉄道広告協会の委員として、10月に韓国のOOH広告を視察した。その現状を紹介する。まず、2011年のカンヌライオンズで韓国初のグランプリを獲った「ホームプラス」の地下鉄でのバーチャルショップ広告。その後、受賞を狙ったワンタイムキャンペーンではないかという議論もあったようだが、見ることができた。韓国での報道によると、一日平均6万2000人が利用し、2013年1~7月までの売上高は193億ウォンで、前年同期比200%だという(出典:biznmedia.com)。このビジネスモデルは、英国の親会社テスコも実施するまでになり、韓国の先進的なIT技術を取り入れた革新的な流通業態と絶賛された。ただし、その後同様な展開を実施する企業が出たが、効果が出なかった例もあるようだ。
急速に進むデジタル化
2009年に江南駅の通りに設置した「メディア・ポール」。当時、まるで巨大iPhoneが街に22台も出現し、タッチパネルを操作する者が多く見られたと話題だったものだ。一部操作が出来なっかったりもしたが、これも稼働していた。特に「フォトメール」の履歴画像が多く見られ利用されているのがわかった。日本にはまだ少ないが、このようなタッチ式のサイネージが多いのも韓国の特徴だ。同じ駅の柱には同様の機能を備えたものがあり、なんと日本のキヤノンが広告主だった。地下鉄ホームには電照看板と一体化した乗り換え案内や駅周辺地図等の情報を引き出せるサイネージが1,000台近くもある。バナー形式で画面に出るタイプのものあった。時折1社のバナーが全面に出るが、それを除いては常に全部の広告が出ているのでその点の満足度が高いとのことだ。バナーをタッチすると詳細情報を見ることが出来、オンラインサイト、モバイルアプリとの連動も考えているという。タッチ式でないもので一番見たのが、ホームの吊り下げ型のサイネージだ。2面並列で1面が電車の接近情報、1面にニュースや広告を放映する形だ。ソウル特別市都市鉄道公社によると6,556台もあるという。その他、ホームドア付近、コンコース、柱、階段脇にもある。電車内は、JRトレインチャンネルとWESTビジョンタイプのものがあった。
このように韓国ソウルのOOHでは、デジタル化が進んでいる。これは、通貨危機後、広告費が削減された折、OOH広告は効果が検証されていないメディアとして、最初に削ると広告主に言われ、デジタル化された媒体で勝負する雰囲気が出たことに起因するようだ。特にインタラクティブな体験型メディアの計画がされ増加したという。スマホの普及でSNSユーザーが急増し、体験を共有する文化が登場したのも追い風になっているに違いない。韓国鉄道公社の広告事業会社によると、今後デジタル広告比率は40%になると予想している。日本ではどうだろう。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2014.2月号からの転載です。