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サイネージに受信させる
6月11日、「デジタルサイネージアワード 2014」の 表彰式が行われた。国内のデジタルサイネージを使った表現の中から、優秀作品を選出し表彰することで、サイネージの市場をさらに活性化していくことを目指しており、今年で5回目になる。今回の特徴は、受賞した9作品のうち7作品がデジタルテクノロジーを使ったインタラクティブな参加型・体験型デジタルサイネージだった点だ。デジタルサイネージが単なる看板ではなく、視認者とのコミュニケーションツールとしての意味合いを持たせたものになっている点に注目した。ゴールド賞は、筆者が昨年10月号でも取り上げた「渋谷デジタル花火大会」だ。応募者は「一方的な「発信」メディアから生活者参加の「受+発信」メディアへと機能進化させた」としている。スマホの画面に指を滑らせると、渋谷の「Q’S EYEビジョン」にデジタルな花火を打ち上げるという「スマホ&rarrサイネージ」の流れを街頭ビジョンで作った画期的な事例だ。「Web化の流れをいち早く取り入れており技術的にも優れている」「デジタルサイネージとして極めて完成度の高い作品」などと絶賛された。
自分が最高のコンテンツ
シルバー賞の1点は、プリントシール機で撮った写真がQ’S EYEに放映されるという「写パーン」が入った。これもサイネージに受信させる試みだ。海外旅行者の来街者数NO.1の渋谷で、観光地と言えば顔ハメ看板!ということで30パターンのプリクラフレームを用意して実施。実際、外国人の利用率が7割にもなった時もあったそうで、2020年のオリンピックイヤーにも期待されるサービスだ。ブロンズ賞は、まずP&Gの「Face_Vending_Machine」。これは、「髪がキレイになれば、前を向ける。」というパンテーンの新ブランドメッセージを伝えるために実施。新宿ステーションスクエアでは、自分のアバターと前向き宣言、顔写真を登録。自販機の前に立つと、アルタビジョンに自分のアバターが出現し、前向き宣言が映し出された後、体験者の名前と宣言入りのボトルがプレゼントされた。体験者は「アルタのモニターにアバターとはいえ登場できたので、一生の記念です」などとインタビューに喜びの声で答えている。写パーンもこれも、自分自身が大型ビジョンに映し出されるもので、これが感動を呼んでいる。生活者にとってサイネージで一番見たい最高のコンテンツは自分自身かもしれない。次に「Paparacci me(パパラッチミー)」。これはiPhoneで撮影した写真を会場内に設置されたスクリーンに向かって“投げる”ことでその写真が映し出され、他の参加者と写真を共有できるというものだ。花王の「おしゃコン」イベントや東京モーターサイクルショーHONDAブースなどで実績がある。「指先の操作に終わらず、“投げる”というより大きなアクションと連動している点がよい」という審査評を受けている。その他、今年6月号で取り上げたフジテレビの「世界フィギュアスケート選手権2014」と毎日放送の「ダックスビジョンキラキラ」が入った。連続した42面のサイネージと、18面並べた横幅13mに及ぶ特殊なサイズのものだ。この2つは、そのサイネージにしかできない独自表現が評価された。このように、アワードに見るデジタルサイネージの表現は、サイネージならではのものが高い評価を受けた。特に体験型のものでは、技術的な面もあるが、参加者が笑顔で楽しんでいるところを動画で見せていた作品が審査員にアピールし、ポイントを集めたのではないだろうか。入賞作品の詳細は、デジタルサイネージコンソーシアムのホームページで見ることができる。
※このコラムは「宣伝会議」2014年8月号からの転載です。