Our Topics指数と連動したООH広告
商品と結びつく気象情報を可視化
6 月30 日から8 月24 日まで、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P &G)は、電車内のデジタルサイネージ(J Rトレインチャンネル)で、日本気象協会発表の「紫外線指数情報」を絡めた広告展開をした。朝の通勤時に見ると、関東各県の地図上に女性のアバター風キャラクターが出ていて、東京の今日の予報は「厳重警戒」と表示していた。「紫外線がきわめて強いです!肌だけでなく髪の紫外線対策の必要!」と注意を促していたが、同時に「髪が浴びる紫外線量は、肌の3 倍」というパンテーンの広告メッセージと商品ボトルを見せていた。番組の中で商品を見せるプロダクトプレースメントの手法にも似ている。指数は「安心・やや注意・注意・警戒・厳重警戒」の5 段階に設定されていたが、その直後に綾瀬はるかさんが出演するC M で「紫外線などのダメージを根本から補修」と商品の機能を訴求するという仕掛けだ。 商品と結びつく気象情報を指数という形で分かりやすく可視化して見せる手法は、人々の関心を呼びやすく購買喚起につながるうまいやり方だろう。夕方には翌日分、深夜24 時過ぎにはその日の分と1日3 回更新した。これには、ニュース番組などと同じ「随時更新システム」を使用。デジタルサイネージだから可能な展開と言えよう。 P &G はその後、ファブリーズでも「汗かき予報」という展開をしている。松岡修造さんがニオイ予報士に扮して、その日の天気に連動した「夏汗指数」を「ベタベタ・タラタラ・ビッショリ」などと表示し、「夏汗注意報発令中」と熱く伝えるものだ。その後に放映されるC M は、「スーツ」篇、「まくら」篇、「カーペット」篇と、洗濯しにくい素材の夏汗ニオイ対策を伝えていた。 一方、猛暑が続いたこの時期、日本コカ・コーラはアクエリアスで、サントリーはグリーンダカラで「熱中症情報」を伝え、自社製品による水分補給を促す広告展開を入れ替わりで行った。また、東京メトロの駅のサイネージでも大塚製薬がポカリスエットで同様な展開を実施している。
購入意向が増加した調査結果
このような展開方法は、実際に効果的だったことが、調査によって証明されている。昨年ライオンがハイジアやナノックスの商品広告で「洗濯指数情報」を使った時である。この指数は数字で示され、晴天で洗濯物が乾きやすい時ほど高くなるものだ。「晴れている今日は、汗のニオイもしっかり落としきるナノックスで洗濯」としながら、指数が低い時でも「天気が良くない日は、部屋干しでも、イヤなニオイを防ぐハイジア」と訴求した。続くC Mも、指数に連動して素材をうまく使い分けるやり方を実施。この時の調査によると、洗濯指数を見た人は、見る前と比べて商品の購入意向が9 . 3%上昇。ナノックスの名称認知率も3 . 3%上昇していることが分かった(野村総研調査)。宣伝担当者は、「単純にC M だけ流すよりも、情報を絡めることで商品への興味や認知、購入の喚起が高まるはず。そんな仮説が実証されたという感触が得られました」と述べている。
このように、リアルな気象情報を指数化したコンテンツと連動させるやり方は効果的な広告手法だ。冬には風邪引きや花粉症など、まだまだ商品と結びつく指数は他にもあるだろう。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2014年10月号からの転載です。