Our Topics駅にあるOOHを活用したO2Oプロモーション
名古屋駅の100面サイネージが好調
JR名古屋駅に2014年10月に設置されたデジタルサイネージ「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」が好調だ。広告の稼働率は6カ月平均で驚異の93.2%。100%稼動も2ヶ月間あり、サイネージの売上シェアは、前年の4.9%から22.5%に急拡大したそうだ。駅の広告出稿実績のない新規広告主も32社あり、従来の媒体からのシフトではなく、新たな広告需要を創出している点にも注目だ。人気のポイントは、その圧倒的な数と設置環境だろう。JR品川駅の自由通路にあるサイネージと比較すると、数は44面に対して100面。設置距離は約70mに対して約175mと共に倍以上だ。現場に行って驚いたのは、この長いコンコースを多くの人が途中で横にそれないで通り抜けていることだ。人通りも多いので、全体が必ずしも見渡せるわけではないが、次々にサイネージ画面が現れては消える感じだ。普通に歩いても2分半以上かかる。そのため広告のローテーションも2分半で回しており、必ず1回は接触させられる計算になる。効果は歩いてみると実感できた。
駅サイネージでO2O 1,459人がクーポンを取得
2014年11月には、このサイネージからBluetoothを使って、通行者のスマートフォンにクーポンをプッシュ配信するO2Oのプロモーション実験も行なっている。実施するに当たって運営者側は、①サイネージにBluetoothを設置②これに対応するアプリを用意③クーポンとなる商品のメーカーと受け取る流通などの参画企業の協力を得る④告知をするといった手順を踏む。一方、利用者は①アプリをダウンロード・起動する②この場所に来る③プッシュ配信を受け、Webサイトからクーポンコードを受け取る④店舗に行って商品をもらうといった手順になる。具体的には、「Shufoo!アプリ」を使い、キリンビールの一番搾りがサークルK・サンクスでもらえるというものだ。関係者は、OOHからの流れで、O2O2O(Out of Home to Online to Offline)としている。実際の運営をした凸版印刷によると、1週間で1,459件クーポン取得者が出たそうだ。そのうち1,258名の人が店舗へ行き、1,187名が商品を獲得した。この数字はシステム上1人1回と限定したので重複がなく実数だ。手順を見ると煩雑なようだが、これだけの人々がそのハードルを越えて実施したという点はしっかり認識し評価すべきだろう。担当者は「メディアに新たな価値を付与することで、今までなかったものやサービスを作り出したかった」と考えたそうだが、広告主側はその新たな試みにチャレンジする点も評価しているようだ。
電車の中でO2Oサービス
3月15日からはJR山手線でO2Oサービスが始まった。NTT ドコモが提供するスマホアプリ「ショッぷらっと」のプロモーションとして、山手線の車内でポイント「star」を獲得できるというものだ。これは、山手線内に設置されているビーコン(音波信号)を使っている。4月14日からはサントリーも無料クーポンが当たるプロモーションを実施する予定だ。このように、駅や電車内のOOHでスマートフォンを使ったO2Oプロモーションを実施する動きが出ている。スマートフォンへ通信する手段の構築や参画企業との調整など課題もあるだろうが、チャレンジしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2015年5月号からの転載です。