Our Topics野菜の香りで惹きつけるOOHプロモーション
野菜の日のイベントが進化
野菜の日の8月31日から5日間、JAグループは、昨年「新宿地下通路に巨大野菜が生えた!」と話題になったプロモーションの第2弾となるイベントを、新宿東口のステーションスクエアで実施した。展示した巨大野菜はトウモロコシ・トマト・ピーマン・ナス・キュウリの夏が旬な野菜5種類だった。その色合い、質感はリアルで、触った感触も柔らかく心地良い。多くの人が立ち止まって触り、スマホによる撮影スポットとなっていた。時折、巨大なピーマンやトマトを持ち上げているようなポーズを取っていた人たちがいたが、そのユニークな画像はSNSにも投稿されたに違いない。担当者は、このポーズを取ることを予想して野菜を配置したとのことだ。この着眼点は優れていると言えるだろう。
トウモロコシに近づくと、コーンポタージュのような甘い香りがした。驚くことにこの巨大とうもろこしには特別に調合した香りが付いていたのである。香りのインパクトは抜群で、多くの人が顔を近づけて確かめていた。トマトとピーマンも嗅いでみたが、青臭さも無く爽やかな印象だ。担当者によると「野菜の日をきっかけに、国産野菜の魅力を感じていただくためにイベントを企画した。五感を使って楽しんでいただけるよう、見た目だけでなく、香りまでリアルさを追求した」とのことだ。周辺では「いいにおい」「野菜でこんなにハシャイだの初めて!」といった声が聞こえた。ここで体験した香り(嗅覚)と触った(触覚)の記憶は、長く人々の中に残るに違いない。
野菜の機能的価値を訴求
木箱型のブースには本物のトマトとナス、ピーマン、キュウリが置かれていた。これらは毎朝届けられるとのことだった。表面には光沢があり新鮮さが伝わってくる。鮮度を保つために霧が吹きかけられ冷房も良く効いて涼しく、爽やかな香りもあり気持ちがいい。壁面には「眠れない夏ストレスには【ナス】がおすすめ!」と大きく書かれ、ナスの体を内側から冷やす作用や、ナスニンというポリフェノールが生活習慣病の予防に役立つ点を訴求していた。その他「むくみからくる夏ストレスには、きゅうり」「ハリキリすぎ夏ストレスには、トマト」「紫外線からくる夏ストレスには、ピーマン」とそれぞれの夏ストレスに期待できる「野菜のチカラ」を訴求していた。タイムリーな表現で共感した人も多かったに違いない。QRコードからWebサイトアクセスすれば、より詳しく学べる仕掛けもしてあった。スタッフに「これ欲しい」「持って行って良いのか」と聞いている人も見かけたが、野菜の色や香り、新鮮さなどの情緒的価値を訴えた上で、野菜の栄養面での機能的価値を訴求する手法は、販売促進効果も生んでいたと言えるだろう。ここでは販売はしなかったが、店頭で行えば売れたに違いない。5日間で2万人が体験したようだ。
このようにJAは、OOHメディアを使いユニークな方法で野菜の訴求をした。野菜の日には、JR東日本のNewDaysが、キューピーや伊藤園とコラボして、キャンペーンを行っていた。野菜の訴求はJAだけのものではない。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2016年11月号からの転載です。