Our Topics駅をショールームやポップアップストアに
触って確かめる置き畳の広告
2017年10月16日から1週間、積水成型工業は、東京メトロ新宿駅で置き畳「MIGUSA」の実物体験展示広告を実施した。商品はフローリングの床に置いて和風空間が演出できる人工の畳で、高度な樹脂加工技術を使い天然イ草の風合いを生かしながら様々なデザインが楽しめる高機能なものだ。
2017年2月~3月にかけてテレビスポットを行った結果、4~5月には過去最高の売上を記録したそうだが、OOHメディアを使ったのは初めてとのこと。インテリアと同じような商品で、購買に至るまでには実際の商品を見て触れてもらうことが重要だ。しかし、ショールームは東京(秋葉原)、大阪(堂島浜)、島根(出雲)にしかなく予約制となっているため、より多くの人に実際に触れてもらう機会を作るという意味で、OOHメディアを活用しようと考えたようだ。
狙い通り多くの人が実際に立ち止まり手で弾力性や感触を確かめる姿が見られた。驚くことに柱巻き広告でも展示していた。丸い柱を四角くして商品をはめ込んだようだが、重量があるため、固定には苦労したそうだ。また、畳は縦方向と横方向どちらも見られるように、面によって向きを変えて展開。同じ畳でも置き方によって見え方が変わってくることを訴求していた。
人の肌に接する商品だけに触覚に訴える手法はOOHメディアならではで、当を得た展開だろう。中には、持ちあげて、裏面が滑らないかを確認する人もいた。イ草の畳ではなく、新素材の樹脂で作られたものだということに人々は好意的で、パンフレット等の資料を求める人も多く、毎日補充したとのこと。10月21日(土)には説明会も実施したが、この日だけでパンフレットは550枚配布、アンケート回収数は338件にもなった。
商品はダニやカビの発生がしにくい、耐久性がある、色あせしにくいなどの機能的価値もあるのだが、それよりも豊富なカラーバリエーションや感触といった情緒的価値をアテンションとしてメインに訴求したのが成功要因と言えるのではないだろうか。
駅にアパレルのポップアップストア
積水成型工業より前の9月25日から1週間は、アダストリアが、ライフスタイルブランド「LAKOLE(ラコレ)」のポップアップストアを同じ場所で展開した。高さ約2m、左右約14mの大型スペースだが、こちらはそれを二面使いアパレルや生活雑貨をそろえ展示していた。柱巻き広告やバナー広告まで使い存在感のある展開だった。店舗の出店エリアは関西や地方のショッピングモールが中心で、都心での認知度を高めるためOOHメディアを使ったとのこと。また、ECサイトへのメールマガジンの登録も促し、利用者を高める狙いもあったようだ。
時折、「LAKOLE」の特徴である、日常のちいさなストレスを軽減する機能を実感させるデモンストレーションも実施していた。例えば、汗をかいても表にしみにくい撥水機能(脇汗なども目立ちにくい)を外国人ナビゲーターが英語で説明(同時通訳付き)。こちらは、商品の機能的価値をメインに訴求していた。
このように、ショールームや店舗が都心に少ない場合、リアルな接点を作る場としてOOHメディアを活用することは効果的だろう。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2018年1月号からの転載です。