Our Topics電車をミュージアム化して訴求できるOOHメディア「広告貸切電車」が周年プロモーションに効果を発揮
秘蔵写真や優勝旗を中づりで掲出、広告貸切電車を周年施策に活用
朝日放送テレビは100回を迎えた全国高校野球選手権記念大会の関連番組「熱闘甲子園」(テレビ朝日系全国ネット)の東京地区の番組宣伝で、2018年7月31日から8月22日まで広告貸切電車を使ったユニークな展開を行った。
広告貸切電車は1編成ほぼ全ての電車内の媒体を1社独占で使える広告商品だ。「甲子園ミュージアム列車」とした電車内には、朝日新聞社から提供された名選手の秘蔵写真、激闘・死闘の劇的瞬間を捉えた厳選写真が掲載された中づりポスターを見ることが出来た。
掲出された写真は1915年の第1回大会から2017年の第99回大会まで、全部で96種。写真だけでなく解説文であるキャッチコピーも秀逸だった。「その奇跡に、観客は酔いしれた」「球史に残るジャイアントキリング」「希望の光となった、球児たちのプレー」など、観戦者の感動を上手く表現していた。さらに「その夏、怪物が甲子園の魔物をねじ伏せた。(松坂大輔さん)」「世界のICHIROが鈴木一郎だった頃(イチローさん)」「バットを振れなかったゴジラ。(松井秀喜さん)」「世界の本塁打王、ノーヒットノーラン達成。(王貞治さん)」など日本を代表する野球人の甲子園時代の「伝説」を思い出す読み物としても成立している。まさに夏の高校野球「熱闘甲子園」の歴史を楽しく振り返ることが出来るミュージアム列車だ。
さらに、中づりで「優勝旗」が掲出された。驚くことに素材は布のような特殊な加工紙を使用して深紅に金色で優勝の文字・ハトと月桂樹の絵柄と周囲に旗房(飾り紐)まであり、サイズは違うが今大会に新調された実物を再現している。1大会にたった1校しか授与されない貴重なもので甲子園野球を象徴するものだ。リアルなミニ優勝旗を見ると宣伝担当者の本気度が伝わってくる。アテンション効果も高く、じっと眺めたり触れたりする人の姿が見られた。まど上とドア横のポスターには、番組タイトル・放送開始日・時間とスペシャルナビゲーターで広告貸切車両の現在位置表示で「乗りに行く」ことが容易に
この「甲子園ミュージアム列車」は京浜急行電鉄の黄色い車体の「京急イエローハッピートレイン」と呼ばれる電車を使っている。黄色は幸せをイメージし「沿線に幸せを運ぶ電車」としているものだ。たった1編成だけだが、赤い電車が中心の京急線では非常に目立つ存在だ。インターネット上では、「京急電車の中が高校野球の広告ですごいことになっている」「京急の甲子園トレインすごいねえ!阪神電車負けてる!」といった書き込みが見られた。公式Twitterでも紹介していたが、リツイート数は数日で1300を超え、いいねの数は4000以上にも達した。中には、「これを見るためだけに、新幹線を使って京急電車に乗りに行きたい!」という投稿もあった。広告貸切電車が今どこを走っているかは一般的には公開されないことが多いが、京急電鉄はWebサイトで当日および翌日の運行予定を案内しているため、「乗りに行きたい」というニーズにも対応可能だ。
また、JR東日本の山手線の広告貸切電車では、広告主のキャンペーンサイトなどに情報を表示することも可能となっている。広告貸切電車のメディア価値を最大化するために活用できるだろう。
このように周年プロモーションの一環として、数多くの歴史的な写真などをリアルに見せたい場合、電車をミュージアム化して訴求する手法も選択肢のひとつだ。参考にしてみてはいかがだろうか。
※このコラムは「宣伝会議」2018年10月号からの転載です。